“X-Pro3で撮る『南極観測船ふじ』”

【昭和生まれには懐かしい響きの「南極観測船ふじ」】

2代目の南極観測船として知られる「ふじ」の素性は砕氷艦であり自衛艦である。
専用の巨大電気推進式ディーゼルエンジンを初搭載し、1965年から18年間、南極との間を往復した。その任務を終えた現在では、名古屋港で「南極観測船博物館(Fuji Antarctic Museum)」として余生を送っている。
『オレンジ色の憎いやつ』。
100mの巨体が名古屋港でもひときわ目立つ存在であります。
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【X-Pro3はカメラ業界におけるユニコーンだ】

ウォーターフロントでは海風に吹かれるだけでも心地良い。
この場所は名古屋水族館や眺めの良いポートビル等が集まった文化的なベイエリアであり、名古屋における観光スポットとして一見の価値があるだろう。

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今回はX-Pro3にXC16-50mmF3.5-5.6で撮影。
トヨタ・プリウスが世界中で批判を浴びた後、今では掌返しで世界中がハイブリッドのプリウスの良さを見直したように、X-Pro3のハイブリッドビューファインダーは画期的な発明であり、カメラ業界のユニコーンだ。X-Pro3を使うとライカM11が使いたくなる。そしてM11を使うと更にX-Pro3の良さを痛感する。X-Pro3とM11は相思相愛の存在で一生手放せない。下世話な表現で恐縮だが、自分にとって両者は「ニコイチ」の存在。それも、どちらもユニコーン同士というのが素晴らしいではないか。
X-Pro3は僕にとっての『愛用品遺産』認定機種であります。

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「オレンジ色の憎い奴」そんな昔の某新聞CMを思い出した。
(今回の撮影機材は、X-Pro3+XC16-50mmF3.5-5.6)

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乗船して真っ先に目に飛び込んでくるのがリアルな厨房。
約200名分の食事を毎日作るのは食材手配も含めて大変な仕事だ。
例えば金曜日はカレーライスというように固定メニューがないと曜日の感覚がマヒしてしまうという。

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X-Pro3+XC16-50mmF3.5-5.6

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このヌメっとした質感がタマラナイ。

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医療室にもリアルなマネキン(蝋人形)が「治療中」。

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「ふじ」の乗務員で手先の器用な人が理髪師を務めた。
出港前に特別訓練を受けた「にわか床屋さん」だが腕前は確か。予約制で洗髪無し、髭剃り無し、料金は無料。

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理容遺産は現在までに10件の登録がある。

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X-Pro3+XC16-50mmF3.5-5.6

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X-Pro3+XC16-50mmF3.5-5.6

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X-Pro3+XC16-50mmF3.5-5.6

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X-Pro3+XC16-50mmF3.5-5.6

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X-Pro3+XC16-50mmF3.5-5.6

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ボロボロに千切れた衛艦旗。第7次南極観測支援行動時の暴風圏を通過した時に使用した旗。
南極大陸に近いエリアでは強風が吹き荒れており、『吠える南緯40度・狂う50度・絶叫する60度』と呼ばれる。

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「ふじ」は南極観測のために新しく造られた船であるため、「直流ディーゼル電気推進方式エンジン」を採用。
この巨大なエンジンルームに近いベッドエリアでの騒音が思いやられる。

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チェーンで吊るされた3段ベッド群。船体の大きな揺れに対応できる吊り下げ式。
担架とハンモックが合体したような造りで、プライベート空間は皆無の狭く密集した場所だ。
南極までの片道一ヶ月以上もこのベッドで寝るのは過酷だ。

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X-Pro3+XC16-50mmF3.5-5.6

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X-Pro3+XC16-50mmF3.5-5.6

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「コマツ製の雪上車」 精悍な顔つきだ。

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X-Pro3+XC16-50mmF3.5-5.6

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X-Pro3+XC16-50mmF3.5-5.6

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X-Pro3+XC16-50mmF3.5-5.6

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X-Pro3+XC16-50mmF3.5-5.6

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映画「南極物語」のモデルにもなった「タロ・ジロの像」
『昭和31年の第一次南極観測隊のソリ犬として活躍し、第二次隊の越冬中止で昭和基地に已む無く残されたが、

極寒の地で一年間見事に生き抜き、我々に夢と希望と勇気を与えてくれた。
南極観測船「ふじ」が名古屋港に係留保存されたのを機会にこの地に像を建立し、永くその功績を称えるものである。』

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X-Pro3+XC16-50mmF3.5-5.6

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【XCズームレンズ雑感】

今回利用したレンズは35mm換算で24~75mmまでの常用域をカバーする手動式のズームレンズだ。廉価版のXCレンズではあるが、なかなかどうして、その写りはXFレンズにも引けを取らない「味」を出すレンズだと感じている。
巷では画角に迷わない単焦点レンズが良いとか、ズームレンズの利便性を賛美する声などの不毛な二者択一議論が永遠に続いている。「ズームレンズは捨てなさい」などと言う本のタイトルをまさか鵜呑みにする読者はいないと思うが(註)、好みで使えば良いだけ話。世間の雑音に惑わされることなく、そんな議論をする暇があれば一枚でも多くの写真撮影を愉しんだ方が良いだろう。

註)著者の赤城耕一さんによれば「鵜呑み読者」も少なくないようで戸惑いのご様子。

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何といってもXCレンズの利点は「軽量」であることだ。
58mm径フィルターにライカ調のアルミ製フードを装着しても228グラム。
素材には軽量プラスチックが多用されており、マウント部分までが硬質プラスチック製ではあるものの、「軽薄短小主義者」としては何の文句も無い。材質のチープ感と軽量をトレードオフにすることは常套手段であるが、そのレンズの全体デザインと使い勝手と画質に不満がない限り筆者に迷いは生じない。

スナップ時には如何にして「機動性=軽量」を確保するかで「SNAP歩数」も決まってくる、と言うのが持論であります。

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(2024/3/1公開)25960    ※ブログ内容は適宜、加筆修正しています。

ゼンマイオヤジ

ゼンマイオヤジ

2023年になっても愛機ラジオミールがゼンマイオヤジを離さない。
でもロレもオメガもセイコーも、フジもライカも好みです。
要は嗜好に合ったデザインであればブランド問わず食いつきます。
『見た目のデザイン第一主義、中身の機械は二の次主義』

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