『ライカM11、3つの魅力』(後編)

『3つの難点』(前編)に続いて、初ライカユーザー視点でM11の『3つの魅力』について。
巷の諸説とは真逆な点も多々あろうが悪しからず。

(1) 530gの軽量ボディ:

既報『ライカへの羨望と忌避』でも述べた通り、『軽薄短小主義者』としてはグロスで600gを切る大幅な軽量ボディが最大の魅力だ。腕時計であれば130g以下、単焦点レンズであれば250g以下、そしてカメラ単体であれば500g以下が理想である。今回、M11ブラックは530g、シルバークロームは640gであるが合格ラインだ。ブラックは軽量化と引き換えに軍艦部を真鍮からアルミ製へと変更した。アルミ製の塗料が剥がれた時に地色がどう見えるのか、と言う議論も巷にはあるが剥がれた時は成り行きだ。真鍮の黄金色に特段、執着している訳では無いので軽量化こそが最重要課題であり多少の妥協は仕方あるまい。これを実現したM11は従来の『忌避感』を払拭してくれた。どストライクのモデルである。

(2) 1800万画素の選択:

僕は『高画素不要論者』である。
今回、M11では『トリプルレゾリューションテクノロジー』の導入で3段階の画素数がDNG/JPG双方で選択出来る。これも世間的には非常に魅力的な要因として、特に6000万画素実現についてはやし立てている。しかし、ちょっと待って欲しい。M10でもJPEG撮影時には2400万画素、1200万画素、600万画素の3段階で撮影出来た(DNGは2400万画素のみ)。M11でもJPEG撮影に専念する場合には特段、『トリプルレゾリューション』と謳わなくても世にある一眼カメラであれば3段階(Large/Medium/Small)の画素数選択は普通のこと。DNG撮影をしないJPEG党員の僕にとっては特段、大きな進歩ではないと言える。

自分なりの高画素の定義とは2000万画素以上である。よって、M11で実現した6000万画素は無用の長物、猫に小判。6000万画素の重さは1枚の画像で50~60MBにもなる。強烈な重さだ。そんな高画素は記録管理上からも百害あって一利も無い。実際、M11で6000万画素(60MP)の撮影をしたこともないし、これからもないだろう。個人的には1600万画素(16MP)でも2000万画素(20MP)でも十二分に高画素であるからだ。そのレベルでもトリミングは十分できるし、A3ノビ程度まで印刷しても何ら遜色は無い。逆に60MPで撮影する場合にはビゾフレックス2が必須だと考えているが、あの醜悪な「違法建築」スタイルは敬遠している。レンジファインダー機はレンジファインダーで撮る為に存在するのだから。

だったらM10(2400万画素)でもいいじゃないか、と言う声もあるだろう。しかし、M10は最早新品では買えないし重い(660g)ことで『結界』を超えている。M11の18MPの方が最新エンジンの”Leica Maestro III®”と組み合わせればOLD LENSでさえも更に魅力的になるのだ。
6000万画素ではなく1800万画素で撮影できる意義は極めて大きい。

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ムック本『Cameraholics Vo.7 38~43頁』に自称『写真屋』こと萩庭佳太氏によるM11の撮影画像が掲載されている。開口一番、同氏はこう述べている:
『はじめてM型ライカを買おうとしているユーザーにこそ、このライカM11をオススメしたい。』
このページで同氏は敢えて18MPで撮影している。「弘法筆を選ばず」というところだろうが、A4サイズ一杯で印刷しても『18MPという解像度でも印刷に全く支障がない』とのこと。更には撮影に使用したレンズはVoigtlander Heliar 40mm F2.8であるから正に僕のコンビネーションと同一だ。偶然だがちょっと嬉しい。

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M11+Voigtlander HELIAR 40mm F2.8 ブラックペイントは見栄えも抜群。

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以前、とある広報誌にA4見開き(=A3相当)で一枚の写真を掲載したが、その画像サイズは4MBで、マイクロフォーサーズのGM1で撮影&敢えてリサイズしたものだ。印刷側の技術力も多分にあるとは思うが、仕上がりは何ら遜色も無ければ編集サイド含めて誰からも文句を言われなかった。X-E2やGM1の1600万画素クラスでも十二分であり、トリミングも相応にできる。世の中、高画素競争の渦に飲み込まれてしまい、数字とスペックに惑わされ過ぎである。当然ながら撮影目的と用途次第であり、高画素は万人向けではない。
僕は『猫』であり、6000万画素は『小判』なのである。

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(3) 電子シャッター搭載:

最高1/16000秒の電子シャッター搭載も非常に魅力的。電子シャッターはデジタルカメラには最早、必須機能と言えるだろう。先に述べた通り、完全無音の点だけは改良を望みたい。

フジの最新モデルX-T5では最高1/180000秒まで搭載している。実にM11の10倍以上のシャッター速度だ。時代はここまで到達している。M型にもせめて1/32000秒までは搭載して欲しい。これもファームウェアアップデートで対応できると思うのだがどうだろう。

国産他社製の電子シャッターで気になるのは、メカシャッター速度と電子シャッター速度が同じケースが散見されること。または非搭載であること。この理由が理解できないのでメーカーの哲学を是非お聞きしたいところだ。
所有するフジやパナはこの点、10年前から電子シャッター搭載を進めてきたパイオニアであり、今回のM11も自分の嗜好にようやくマッチしたものとなった。ついでに言えば、M11のシャッターフィールはX-Pro3のように素晴らしい感触とサウンドである。勿論、両者のフィールも音質も別物だが、こうしたシャッター音質にも拘りを持てるメーカーには全面的に賛同する。『X-Pro3愛』についてはまた後日、蘊蓄を述べたい。

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上記3点要素を満たしているのは、現行ライカ機種の中では唯一無二の存在。
僕にとってはM11に一つでも欠けてはならない3つの魅力であります。

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(2023/2/16公開)      ※ブログ内容は適宜、加筆修正しています。

ゼンマイオヤジ

ゼンマイオヤジ

2023年になっても愛機ラジオミールがゼンマイオヤジを離さない。
でもロレもオメガもセイコーも、フジもライカも好みです。
要は嗜好に合ったデザインであればブランド問わず食いつきます。
『見た目のデザイン第一主義、中身の機械は二の次主義』

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