『パラコード考察 ~ ライカM11&X-Pro3』

最初ののパラコードはマレーシアから取り寄せた。もう3年半になるが現在も安心して利用中。
ホツレや伸びは全くなく、しなやかで非常に使い易い。


【突き詰めると既製品ではなくオーダーメイドに行き着く】

誰しも好みのストラップがあると思うが、
ライカ使用以前も使用後も、自分にはこのストラップが一番似合っている。
以前、TVコマーシャルを観て興味を持ち、「宮崎あおい風ストラップ」を作成したことがあるが、やはりプロによる本格的な別注ストラップは快適であります。

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最近ではペット用のリードに多く使われているパラコード。
正式名称は『パラシュートコード』。その名の通り軍用が由来である。
今ではアウトドア用としてテントロープやザイル用として幅広く使われている。
太さも多種多様であり自分はワラビーブーツ用の靴紐としても使っている。
一方でカメラストラップ用の既製品では理想とする形状が中々見つからないので、
国内の某クリエイターの方と相談して、細部に亘る希望も取り入れて頂き別注した。

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パラコードの表地素材としては大別して3種類ある:
● ナイロン製(耐摩耗性が高く一般的な素材。最初はやや硬め)
● PPことプリプロピレン製(軽量でソフトだが紫外線にやや弱い。水に浮く)
● ポリエステル製(水を吸収せず、伸びない)


今回はナイロン製とPP製を選択。
編み方もスネークノットとコブラノットの2種類を試すことにした。


【一般的なスネークノットは万人向け】

まず、冒頭の写真はナイロン製の黒銀2色の編み込み式でスネークノットとなる。
丸紐形状なので裏表がなくソフトでしなやかなので、
ネックストラップを手首に巻いて使うことが出来る。
表裏がある平紐だとギクシャクするのでこうはいかない。
共通するデザインの拘りは、両端をループ状にして15㎜径の真鍮製丸環を付けること。
指の間で挟むのでカメラへの装着部がシンプルなループ状であることが、
自分の撮影スタイルでは必須。
強度が貧弱そうだが、実際の使用では全く不都合はない。

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蛇足で補足するが、パラコードの強度・耐久性は通常の使用においては問題ない。
留意すべきはストラップの両サイドにある「ループ状部分の接合処理」である。
つまり、パラコードに限らずカメラ用ストラップの大半がストラップ両端の接合方法とその処理具合で強度が決まるのであり、問題が起きるのもこの部分だけだろう。ストラップの中央部分が断裂するトラブルは殆どないと言ってよかろう。よって、耐荷重云々の説明書きを盲信することは危険であり無意味。あくまでも製品末端の仕上げ処理がパラコードストラップの強度を決めると言うのが持論。

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上写真は良くある市販品のデザイン。
丸環装着部分に革で補強を加え、カメラガード用のあて革も配置している。これはこれで意味があるのだが、自分の場合、カメラのホールド時に特に右手人差し指と中指の間にストラップ(ループ部分)を挟むので、上写真にもある補強革部分が大きな障害(邪魔)となる。よって両端はシンプルなループ形状のみにする必然性が生じる訳だ。見た目が貧弱に思えるかもしれないが、X-Pro3では3年以上の使用で耐久性には何も問題は発生していない。

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【コブラノットは平紐のように表裏がある感じ】

2本目(下写真)も同じくナイロン製だが、こちらはコブラノット。
平紐っぽい仕上がりとなるが、スネークノットと並ぶパラコードの代表的な編み方だ。
これもパラコードらしい味がある。

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コブラノットの例。この両端ループ形状が自分の撮影スタイルにマッチする重要なデザイン。
表裏はないが平紐に近い感触なので、手首に巻き付ける時には少々「位置設定」が必要だ。

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【3本目は黒銀のミックスカラーでPP製】

このシックな色柄が気に入った。
非常にしなやかで、個人的には一番好みの素材。
王道のスネークノットで長さは100~103㎝で統一している。
太過ぎず細すぎず、この外径約15mm程度が一番シックリくる。

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シックな黒銀コンビ柄。こう見るとまるで岩見神楽の大蛇みたいだ。


【4本目は黒銀のミックスカラーでコブラノット】

3本目と同じシックな色柄でリストストラップも作成してもらった。
登場場面はまだないが、リング形状も好みなので「在庫」として保有している。
オーダーメイドらしい世界に一本のストラップという点が所有欲も満たしてくれる。

そして4本目となるが同じくPP製のリストストラップはコブラノットで作成。

5本目。カメラケースの色と合わせて別注した黒青MIX柄のPP製のスネークノット。


【総重量1キロ以下であればパラコードでも首への負担は少ない】

ループ部分が貧弱に見えるが、1本のコードは芯材として7本のナイロン糸で編み込まれており、強度面での不安は全くない。とは言え、何よりも大切なのは撮影前にカメラ同様、ストラップの「始業前点検」を行うこと。何事も転ばぬ先の杖であります。基本的にストラップは消耗品なので、劣化が現れたら交換すればよい。
ライカM11、X-Pro3ともにレンズ込みの総重量が1kg以下なので、こうした丸紐でも首への荷重負担は少なく、パラコードは十分実用として使える。つまり、SNAP用に特化したのがパラコードストラップであろう。

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カメラ用のストラップ素材は革製、布製、シルク製、平紐、丸紐等、様々であるが、自分用に選ぶ楽しみ、別注する愉しみもあるので時計ベルト同様に色々と拘るのも面白い。カメラケースと同様、ストラップは好みのアクセサリーとしても許される重要なカメラパーツであり、持ち主の個性が垣間見れる点も面白い。

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(2024/2/17公開) 24093       ※ブログ内容は随時、加筆修正しています。

ゼンマイオヤジ

ゼンマイオヤジ

2023年になっても愛機ラジオミールがゼンマイオヤジを離さない。
でもロレもオメガもセイコーも、フジもライカも好みです。
要は嗜好に合ったデザインであればブランド問わず食いつきます。
『見た目のデザイン第一主義、中身の機械は二の次主義』

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