“箱型カメラ愛好家のメランコリー”

【箱型カメラは不人気で売れないのか?という疑問が解けない】

CP+2024が開催された。
個人的な注目点は富士フィルムX100VとX-Pro3の後継モデル情報。
そして、他社からも箱型カメラが新作で登場するか否か、にある。

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新作X100VIは予想通りのSPECで登場したので、これでX-Pro3後継モデルにも40MPセンサーとIBIS(=In Body Image Stabilization/カメラ内手振れ補正)が搭載されることは略確実だろう。果たして40MPもの高画素機が素人向けに必要かについては従来より疑義を持つのであるが、SONY α7Cのようにセンサーサイズを選べる商品展開をしてくれると有難いところだ。(※画素サイズをL/M/Sで選択すれば同じことだが)

考えてみれば素人も玄人(プロ)も同じ市販のカメラを使うところがF-1に代表される他の業界とは異なる点であると同時に、「危うい誘惑」が存在する所以だろう。その結果として素人が自分のニーズと技量を棚上げ・錯誤して不要な高機能・高画素機にも手を出すことになる訳だ。「高画素機であればクロップして好みの絵も綺麗に作れますよ」、とはその通りであるのだが、冷静に考えれば自分にそこまでの必要性があるのかについては直ぐに判断がつくだろう。

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巷で不人気の声も聞く現行X-Pro3の背面液晶が継続か、3軸チルトになるのか、X100VIと同様のチルトになるのか、加えて富士フィルム90周年記念第二弾として、4年前のX100V発表当時のようにボディデザインをシャープにリフレッシュする可能性についても注目している。

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【箱型カメラ愛好家の憂鬱】

自分が箱型カメラに拘る理由はそのデザインの美しさと直方体形状からくるコンパクトさに集約される。ペンタプリズムを採用した一眼レフカメラが登場するまではバルナックライカを筆頭に皆、箱型カメラであったので、よりクラシカルな造形美をオマージュしているのが箱型カメラのデザイン的源泉と言えるだろう。それを見事に具現化したのがライカMシリーズであり、ダイバーズ時計で言えばROLEXサブマリーナが「業界標準器」的な大御所である(=持論です)のと同様だ。故に箱型カメラデザインを突き詰めるとどうしてもライカMに似てくるのはデザイナー泣かせとも言える点だろう。

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しかし現在では、市場での人気カメラはグリップ性能も高く、望遠レンズも使い易い、ペンタ部分を備えた旧態然とした形状が主流となっている。

LUMIXのレンズ交換式カメラの原点は2006年発表の箱型L-1であるが、現時点では箱型カメラをライアップから全滅させてしまった。最後の砦となったGF10もGX7MK3も陥落してしまったのは、涙なしには語れない。

OM SYSTEMのPEN E-P7の先行きもおぼつかない状況だ。あの、名作PEN-Fも販売が今一つだったと聞いているが、将来的に復活の可能性は期待薄だろう。

SONYはガッツリとグリップを付けてくるので箱型イメージからはやや遠のく。箱型動画用カメラもファインダーを持たないので方向性が異なる。

Canonは往年のV型距離計連動式シリーズやCanonetといったベストセラー機種を持っているが、今のところレトロなデザイン復古への興味はまるで持ち合わせていないようだ。

NikonはZfc/Zfで一眼レフのオマージュモデルデザインが大当たりの様相を呈しておりご同慶の至りだが、本命となるNikon-Sシリーズの箱型復活情報は皆無だ。

となると、ライカやフジを除く他社からは今後、箱型カメラを復活させる動きはないのだろうかと心中穏やかではない。

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仮に新型が出てもX-Pro3は『我が一生の相棒』なので直ちに買い増す予定はないのだが、箱型カメラファンの精神安定剤としても、このデザインの火が絶やされることがないように只々密かに願っているのであります。

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【理想のカメラとは何だろう】

趣味に興じる撮影者視点で言わせてもらえれば、①まず最初にカメラのデザインありきで写欲を駆り立ててくれるクラシックな造形美を持つ箱型であること、②自分好みの色(=ごくごく自然な色合い)が出せること、③コンパクトで毎日気軽に持ち歩けること、そして、④適正価格に収められていること、だろう。
その意味からは30MP以上の超高画素やプロレベルのハイスペック機能などは全く不要であって、写す写真には何の影響も与えない。高速連写などの高付加価値機能は宝の持ち腐れとなるだけだ。

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そんな理想的なカメラを箱型デザインで各メーカーから1台でも良いのでこの世に登場させてくれることを期待しつつ、今年の動向を刮目している。

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TDLと新宿御苑とどちらに行きたい?
その答えが現時点における箱型カメラの衰退理由だとしたら、
あなた、箱型カメラ好きの日本人はそんなに短絡的ではありませんぜ、
と、僕は言いたい。

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(2024/2/22公開)24800      ※ブログ内容は適宜、加筆修正しています。

ゼンマイオヤジ

ゼンマイオヤジ

2023年になっても愛機ラジオミールがゼンマイオヤジを離さない。
でもロレもオメガもセイコーも、フジもライカも好みです。
要は嗜好に合ったデザインであればブランド問わず食いつきます。
『見た目のデザイン第一主義、中身の機械は二の次主義』

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