【羨望の源泉と忌避の源泉】
僕にとってライカとは、長らくそんな表現が当てはまる存在だった。
羨望の源泉はそのデザイン。無駄を削ぎ落した鋭角な線と面が作る造形美。
無用な機能願望を投げ捨てよ、と言わんがばかりにシンプルなデザインだ。
使い手の『覚悟』さえも問うデザイン。
忌避の源泉はその重量。
単体重量600g以下制限の結界が張られている限り、軽薄短小を旨とする僕の琴線に今ひとつ届かぬ所以だ。
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【初めて手に触れたライカがデジタルM】
場所はロンドン中心部、ピカデリーサーカス傍にあるバーリントンアーケード。
当時ここに小さなライカブティックがあった。2014年7月のことだ。
£80払えばライカМを借りて48時間のテストドライブが出来るということで覗いて来た。
因みに£80は新品Мを買えば戻って来るとの説明を受けた。
実はMについての興味はあった。
CCDからCMOSセンサーに変更されてライブビュー機能が追加されたことは魅力的。
一回り大きくなった『赤バッジ』に意味なく惹かれるものの実機を手にした瞬間、
あのズシリとした重さには一瞬で萎えた。
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【兎に角、重い】
ボディだけで680gだからレンズ付けたら優に1kg超えの「鉄アレイ」と化す。
加えて弁当箱のように分厚い。
軽薄短小主義の自分には到底受け入れ難いサイズであった。
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今思えば、
Mの重量により『ライカの結界』に足を踏み入れる勇気も気力も失せてしまったのだ。
ライカへの『覚悟』も『知識』も微塵もなかった約10年前のことである。
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↑ 泣く子も黙るバーリントン・アーケードの入り口。
超一等地に超一流ブランドが軒を並べる。それが故に短命の店舗も少なくない。
ここは栄枯盛衰の世界の縮図である。このライカ店も一年足らずで閉店となった。
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↑ ライカ店の外観。
兎に角、狭いがここは相当の家賃であることに疑いはない。向かい側の店舗である老舗靴店Church’sの看板がガラスに映っている。その下にアロハシャツ+短パン+NIKEコルテッツ姿の自分も写っているけど…
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↑『赤バッジ』がM9より一回り大きくなったのが分かるだろうか。
同じく巨大Mの刻印と共にライカニストに物議を醸し出した問題児。
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↑ライカM(Typ249)は2013年発売。
コダック製のCCDから2400万画素CMOSセンサーに移行したモデル。
背面には6個のボタンと十字キーまで配置される。ぁ、十字キーは最新のM11にもありましたね。当たり前だが日本語メニューもあることにはちょっと感心した。
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(2023/1/14公開) ※ブログ内容は適宜、加筆修正しています。