“SNAP Cape of Good Hope”                (南アフリカ喜望峰でフォトウォーク)


【南アフリカのケープタウンを訪問した】

日本から遥かに遠いアフリカ大陸の南端にあるこの場所は丁度夏から冬に向かう時期であり、昼間の気温は25度前後で快適だ。中々訪れることが出来ない場所だけに、この日は近隣の「喜望峰」まで足を伸ばすことにした。

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「喜望峰」は英語の”Cape of Good Hope”を訳したものだが、本来であれば「希望岬」が正しい表記だ。どうして「喜望」と「峰」になったのかは定かではないらしいが、長年定着し慣れ親しんでいるので個人的にはこの表記が好み。
南アフリカの歴史的な背景もあり、海沿いのケープタウンには引退した白人や米・英・オランダ人の保養地としても人気がある。肝心の治安はヨハネスブルグよりはマシとは言え、市街地と雖も気を抜けない。アメリカ同様に銃が蔓延しているこの国では宿泊ホテル周辺をジョギングすることさえも憚られるのは当然であった。

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ケープタウンは南アフリカでも一番人気の観光地である。市内からは巨大な「テーブルマウンテン」を眺めることになり、ケープタウン港に面した界隈は小洒落たショッピングモールやレストラン等が立ち並び観光客で賑わっている。ちょっとした「フィッシャーマンズワーフ」というところだ。

今回はケープタウンから南に50km程南下して「喜望峰」まで遠足してみた。
「アフリカ大陸最南端の地」として有名であるが、実はそれは間違いであって、本当の最南端は南東へ150km離れた場所にある「アガラス岬(Cape Agulhas)」であることは周知の通りである。

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この当時、撮影に利用した機材はLUMIX FX-01というコンデジだ。1/2.5型CCDを搭載し、有効画素数は600万画素、最大ISOが1600というコンデジ黎明期のカメラ。それを更に縮小サイズで撮影していたので画像が総じて不鮮明である点が悔しい。撮影に対する知識も気構えも何もできていなかったのは仕方ないが今となっては何とも残念でならない。訪問場所の予習も無ければ、喜望峰に関する知識さえも持ち合わせず、ただただのんびりと気まぐれにシャッターを切る程度であった。思い返せばつくづく勿体ないことをしたものだが、それでもこのような画像を残せたことは不幸中の幸いだと思っている。
出来れば今のカメラを持って再訪したい場所であることには間違いない。治安面だけが相変わらずの不安要素ではあるが。

大西洋に面しているケープタウン港。SanFranciscoの「フィッシャーマンズワーフ」を連想する。
日本の秋を思わせる青空は空気も澄んで快適であった。
ショッピンモールの窓ガラス越しに見る「テーブルマウンテン」。
港湾都市というのは例外なく実にフォトジェニックな場所である。
ショッピングモール内部。店の種類や内容からしても個人的には見るべきものは少なかった。
海では泳げないのでホテルのプールで過ごすひと時。
ハウト湾に面したセンチネル・ピーク(The Sentinel Hout Bay)
この山の向こう側にケープタウン港がある。

ケープ半島を一路南下して喜望峰へと向かう車窓から撮影。エメラルドグリーンの海が印象的。
これが欧米人の引退組が過ごしているコテージの景観。
通年、気温が穏やかであるが、時には風雨が厳しい土地柄でもある。
喜望峰までの道路は片側1車線だが舗装路なので快適なドライブ。

途中、車窓から見えたオーストリッチ(ダチョウ)の養育場。
日本国内でも似たような施設があるのは意外に知られていない。
喜望峰への入り口でもある「テーブルマウンテン・ナショナルパーク」
当時の為替レートでは1ランド(ZAR)約10円。現在では約7.20~7.40円程度で推移している。
駐車場路肩に鎮座する野生のバブーン(ヒヒ)。
彼らの横を通り過ぎる時は本当に恐怖の時間でしかない。
バブーン本来の凶暴性はニホンザルの比ではない。その顎の大きさからしても正直、ビビった。

ビビる、の語源は実は「ヒヒった」が濁音化したのではないか説、に賛同したい(嘘)
喜望峰の灯台駅まではこうしてケーブルカーで登る。

山頂駅から見下ろした光景。
ケーブルカーを降りてココからは灯台までは歩くことになる。

喜望峰にある旧灯台(Old Cape Lighthouse)の記念プレートがあった。
現在の灯台は海抜87mにあるそうだ。
“2000 candlepower”とあるが蝋燭の明るさを基準とした単位が面白い。「馬力」と同じ表現だ。

こちらの旧灯台は海抜249mに鎮座している。

Old Cape Hope Lighthouse
写真右上の断崖絶壁が喜望峰。
「喜望峰」を眺めるこの景色は絶景だった。
この近辺は海流が入り組んでおり、荒天が多い難所でもある。
中世の東西貿易の突破口となったこの場所を航海した先人達の姿を思い浮かべると不思議な感慨が湧いてくる。
階段から見たこの海の色は実に見事なエメラルド・グリーンであった。
灯台からの坂道を降りて海岸にある「喜望峰」の看板までたどり着く。
多分、2度と来るチャンスはないだろう。
「ワイン畑でつかまえて」と、J.D.サリンジャーが言ったかどうかは知らないが、
ケープタウンへの帰路、ワイナリーを訪問する。一面にワイン(=葡萄)畑が広がる。
アフリカにいることを忘れ、暫しホッとする光景だ。
Groot Constantia Winemaking Plaqueにてテイスティングを愉しむ。

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南アフリカは良質なワイン産地でもある。
17世紀のナントの勅令廃止でフランスを追われたユグノーたちが入植し、ワインの生産を広めたという歴史もあり、そのお味は世界的評価を得てお墨付きだ。ここでもユグノーが登場するとはスイスの時計産業の発展期と同じで、彼らによるワイン製造技術の伝播はこの南アフリカでも非常に重要な役割を果たしている。
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ここで購入したワインをロンドン向けに空輸してもらったのだが、
ロンドン到着後に相応の輸入税問題が待ちかまえていることを当時は知る由もなかった。

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(2023/5/11公開)2570   ※ブログ内容は適宜、加筆修正しています。


ゼンマイオヤジ

ゼンマイオヤジ

2023年になっても愛機ラジオミールがゼンマイオヤジを離さない。
でもロレもオメガもセイコーも、フジもライカも好みです。
要は嗜好に合ったデザインであればブランド問わず食いつきます。
『見た目のデザイン第一主義、中身の機械は二の次主義』

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2 Comments

  1. 鈴木隆浩

    アフリカ、すごいですねぇ〜。行ったことがないですし、灼熱のイメージでしたが、過ごしやすいとは全く知りませんでした。LUMIX FX-01は、使ったことありません。
    ビビるの語源、私も賛同します。(*>▽<*)
    景色も素晴らしいですし、フォトジェニックなシーンばかりに感じます。
    やはり、一度は行ってみたいなって思いました。

    1. ゼンマイオヤジ

      アフリカは兎に角広くて日本からは本当に遠い場所です。文化も気候も人種も治安も地域と国々で強烈に異なるので、緊張と興奮の連続ですね。お陰様で私も随分と鍛えられました(笑)

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