『NIKE/CORTEZ、27年目の再生物語』

購入後、今年で27年目を迎えたナイキ・コルテッツ。
1996年製の「アトランタ五輪モデル」を今でも愛用している。
今回はNew Balance996に続くリペアストーリーを記録に留める。

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恐らく世間のスニーカーの9割以上は消耗品として履き潰されていると想像している。
しかし、Good Year製法に代表される革靴や機械式腕時計、機械式カメラや衣料品等と同様に、スニーカーのリペアも可能であることを再度伝えたい。
今回のナイキ・コルテッツ(CORTEZ)は過去にもリペアを重ねて長年愛用中のスニーカーだ。決してコレクションの為に保有している、というブツではない。それでもここまでのロングライフを保つためには相応のメンテナンスが不可欠。靴好きにとっては当たり前のことだが、こうすれば愛用できるということを備忘録として残したい。

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今から5年前にリペアしたのが下の写真だ。
コルテッツは本来、3層ソールであるが、波型パターンのアウトソールを1枚加えて4層ソールにリペア(カスタム)を行ったのが5年前。そのアウトソールも5年後には酷使による寿命を全うしてくれた結果、このようにすり減ってしまった。

これが5年前に「追加カスタム」した4層目の波型アウトソールだ。
5年間の役目を無事に果たしてくれたことに心より感謝したい。
期待以上の耐久性を誇るソールだった。

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そして今回は検討結果、次の補修を行った。

① すり減ったアウトソールのみを再度、今回はビブラムソールに交換する
② リペア店と相談結果、ラバーソール全体の接着性が劣化してきたので、
  この機会に一旦ソールを全部剥がして再接着する。
  その後、側面を若干グラインダーで削ることで見た目も美しく再生する
  (幸い、オリジナルソール部分は加水分解していないので継続利用が可能)

これは特段難しいリペアではなく、革靴の世界では至極常識的なリペアである。
要は、ここで紹介することはSDGs云々とかの大袈裟なことではなく、愛用靴に対するマナーであり敬意であり愛着であって、好きな靴を長く履きたい、と言うただただその為の施策なのだ。

ネジ頭のような六角形突起デザインのビブラムソール。4mm厚の#7120(=XS CITY)を選択。
ビブラムによれば、「雨でぬれた路面やタイル、マンホールなどへの耐水、
油のついた床の上での耐油を想定し、都市生活の中での高いグリップ力を発揮」するのが特徴。
ヒールにはアトランタ五輪の特別仕様である「ナイキ国旗マーク」が刺繍されている。
一部のナイキ党員には憧れらしく、SNKRショップでも偶に店員から声をかけられる。
これが4層目を一新し、ソール全体を再接着した完成形。
ソール側面も軽くバフ(研磨)した結果、新品の白さが蘇った。
これでまた4~5年は頑張ってこのコルテッツと共に生きたいものだ。
我が最愛靴の一足であるNIKE CORTEZ
肉厚レザー製と言うのが頑丈の理由だ。本革の感触と耐久性に勝るものはない。

【追記】
今回の修理は毎度お世話になっているRESHでお願いした。SNKRSに限らず靴の「総合病院」なのでご興味ある方は一度相談してみることをお勧めします。日本の靴修理店は技術的に世界NO.1であり、きめ細かい技とハイレベルの心憎い対応には毎回敬服するばかり。良いものを長く愛用する日本独特の文化はシューズリペアの分野でも花開いている。

(2023/5/8公開)2504

ゼンマイオヤジ

ゼンマイオヤジ

2023年になっても愛機ラジオミールがゼンマイオヤジを離さない。
でもロレもオメガもセイコーも、フジもライカも好みです。
要は嗜好に合ったデザインであればブランド問わず食いつきます。
『見た目のデザイン第一主義、中身の機械は二の次主義』

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2 Comments

  1. 鈴木隆浩

    スニーカーの靴底の張り替えって、できるんんですね。まったく知りませんでした。
    ちなみに修理はミスターミニットでも修理可能なのでしょうか?
    私は、スニーカーは履き潰すものだとばかり思ってました。
    とても勉強になる内容です。ありがとうございます。

    1. ゼンマイオヤジ

      今回の修理はRESHで行ったので、ブログに追記でリンクを貼り付けました。ミスターミニットでももちろん修理可能です。日本のリペア店の凄さはハイレベルの技術・部材の種類・在庫の豊富さにあります。本場ロンドンでは有り得ないレベルとクオリティに唯々感心するばかりです。

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