【本場のパブは歴史が古い】
前回のサウスバンクのパブSNAPに続いて、今回はロンドンの心臓部である金融街シティーCITYにある歴史あるPUBをご紹介する。

その数一挙に12軒。恐らく本邦初公開も含むだろう。
流石にシティーだけあって店の前に人が溢れるようなことはない。場所柄、店前にそんなスペースもないのであるが、訪問したのが1月の厳寒期でもあり、当たり前だがこの辺のPUBでは皆、室内で飲んでいる。シティーなので銀行・証券・保険などの金融関係者が多いのだが、場所柄のせいか元銀行の建物を内部だけPUB に改装したケースもあったりする。そんなPUBの室内は調度品もゴージャスで、天井は元銀行だけにとても高かったりする。内装も含めて由緒あるPUBの雰囲気を感じて頂ければ幸いだ。

***

まずは地下鉄バンク駅(Bank Station)そばの王立取引所(Royal Exchange)からスタートする。
以下の地図にある❶~⓬が今回紹介するパブの所在地である。

ギリシア神殿のような建物が王立取引所こと旧Royal Exchangeだ。
地下鉄BANK駅の眼前にそびえるシティのシンボルでもある。
駅名が「BANK=銀行」というのも冷静考えると笑える。
All shots by LUMIX GM-1 +LUMIX G VARIO 12-32mm F3.5-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.
1軒目:The Counting House (50 Cornhill, London) 地図❶
元銀行の建物を1995年にPUBに改造している。歴史保存建物に指定されているので外観に手を加える

ことは出来ない。ロンドンの町並みが何時までも変わらない理由の一つがこの規制の為である。
1軒目:The Counting House
この天井の高さと言い、バルコニーのような2階部分といい、普通のPUBでは有り得ない荘厳な内装建築だ。冒頭の拡大写真をよく見て欲しい。このような格式高いPUB でも食事やつまみを注文するロンドナーは稀だ。夜のPUB はビール片手に商談やら世間話やらで会話を愉しむ「社交場」として成立しているのだ。
2軒目:The Crosse Keys (9 Gracechurch St, London) 地図❷
上部に”FREEHOUSE”とあるのは独立系PUBの意味。取扱い銘柄は自由に選べる。
2軒目:The Crosse Keys
元コーチング・イン(馬車の出発点と宿)を銀行に改造し、その後、PUB に改造された建物。

右上の時計周りのレリーフが正に昔のコーチング・インを物語る。
2軒目:The Crosse Keys
丸で博物館のような重厚さだ。日本の呑み屋で元銀行の建物なんてのは有り得ないだろう。

英国の歴史の深さを否応なく感じさせる場所でもある。
1~2軒目では飲まずに3軒目へと向かった。まだまだ先は長いのだ。
3軒目:Jamaica Wine House (St Michael’s Alley, London)  地図❸
1952年にロンドン初のコーヒーハウスとしてオープン後、奴隷とラム酒の情報拠点になった。
3軒目:Jamaica Wine House
3軒目:Jamaica Wine House
スーツ姿の男性が多いのもサウスバンクとは大きく異なる点だ。
皆さん、シティの金融関係者である。ツマミなんてない。ビールグラス一杯で終わるからね。
要は屋外であろうが屋内で飲もうがツマミは注文しないのが一般的。
3軒目:Jamaica Wine House 「スチームパンク」を彷彿とさせる昔のコーヒーサーバー。歴史だ!
3軒目:Jamaica Wine House
ここで軽くハーフパイントで喉を潤す。
3軒目:Jamaica Wine House
3軒目:Jamaica Wine House
どこを撮影しても絵になる場所だ。
更に4軒目へと移動する。
4軒目: Williamson’s Tavern (1 Groveland Ct, London) 地図❹
1666年のロンドン大火の直後に建造されたPUB で、ロンドン市長の邸宅にもなったが、
その後、ホテルとして売却された。
4軒目: Williamson’s Tavern
4軒目: Williamson’s Tavern
この内装の重厚感が凄い。
4軒目: Williamson’s Tavern
4軒目: Williamson’s Tavern 少しケルビン色温度キツメで撮影。
テーブル上にはグラスだけ。誰もつまみなど注文しないのが良く分かる。
5軒目:Ye Olde Watling (Watling St, Greater, London EC4m 9BR) 地図❺
1666年のロンドン大火後に初めて作られたPUBである。写真右奥にSt.Paul大聖堂が見える。
5軒目:Ye Olde Watling
5軒目:Ye Olde Watling
6軒目:Punch Tavern (99 Fleet ST, London) 地図❻
Punch Tavernは1662年に始まった 「パンチ&ジュデイー・ショー」 に由来する。
その後19世紀に出版された漫画雑誌 「パンチ」 の編集者がこのパブでよく飲んだので有名になった。
6軒目:Punch Tavern
ここでもハーフパイント(約280ml)のギネスを味わう。
7軒目:City of London Distillery (22-24 Bride Ln,London) 地図❼
昔のジンの蒸留所を改造したもの。
8軒目:The Old Bell Tavern (95 Fleet St, London) 地図❽
300年以上にわたって認可された居酒屋とも言われる。
お隣にはクリストファー・レン卿によって建てられた「聖・花嫁教会」があることでも有名。
これが「聖・花嫁教会/St Bride’s Church」だ。
この建物の階段状の尖塔デザインがウェディングケーキの原型となったと言われる。

ロンドン大火で一度は焼け落ちてしまい、1703年に今の本堂と尖塔が完成した。
9軒目:Tipperary (66 Fleet St, Temple, London)  地図❾
ロンドン最初のアイリッシュ・パブとして有名。
9軒目:Tipperary
9軒目:Tipperary
10軒目:The Devereux (20 Devereux Ct, Temple, London) 地図❿
1677年にグレシアンコーヒーハウスとしてオープンしたこの歴史的なパブは、
アイザックニュートン卿、エドモンドハレー卿、ハンススローンなど、
さまざまな歴史上の人物のお気に入りの場所であった。
10軒目:The Devereux
11軒目:The Edgar Wallace (40 Essex St, Temple, London) 地図⓫
黒い外観が印象的で、窓の金色のトリムが引き立っている。
波乱万丈の人生を送った作家エドガー・ウォーレスが常連だった。
最後の紹介、12軒目: The Old Bank of England (194 Fleet St, London) 地図⓬
文字通り、昔、大英銀行の支店だった建物を改装したPUBである。

日本であれば絶対に銀行のネームプレートは撤去したであろう。
12軒目:The Old Bank of England
この荘厳とも言える内装を見て欲しい。丸でダンスホールかオペラハウスか。

日本人の感覚では旧日銀オフィスをパブに改造するようなもの。有り得ない!
12軒目:The Old Bank of England
12軒目:The Old Bank of England
12軒目:The Old Bank of England
良く歩いた12軒目でもハーフパイントグラスで「ロンドン・プライド」を注文した。
12軒目:The Old Bank of England
12軒目:The Old Bank of England
12軒目:The Old Bank of England

今宵のシティPUB 巡りはいかがでしたか。
英国やアイルランドを訪問の際は是非、現地のPUBを一度は訪問してみてください。
食事も美味いカジュアルな場所なのでランチにも最適。
ビール一杯だけでも気兼ねなくどうぞ。

***

今宵はFriday Night!
皆さん、どうぞ良い週末を。

(2023/4/21公開)2070

ゼンマイオヤジ

ゼンマイオヤジ

2023年になっても愛機ラジオミールがゼンマイオヤジを離さない。
でもロレもオメガもセイコーも、フジもライカも好みです。
要は嗜好に合ったデザインであればブランド問わず食いつきます。
『見た目のデザイン第一主義、中身の機械は二の次主義』

おすすめの関連記事

4 Comments

  1. 鈴木隆浩

    ロンドンは、どこを向いてもフォトジェニックですね。
    フィルムカメラだったら、あっという間に100本社使ってしまいそうです。
    いまの時代は、デジタルなので、気にせず撮れるはずなのですが、どうもまだフィルムの感覚があって、勿体無い感が残ってます。
    ところで、GM1は、本当に携帯性もよく、私もお気に入りのカメラですがM11買ってから全く使ってないんです。しまい込んじゃってるからです。Tommyさんは、やっぱり時折使ってるんですね?

  2. ゼンマイオヤジ

    GM1は旅行でのサブカメラとして欠かせません。日常でも絶えず持ち歩いているので既に2回も修理&部品交換しています。GMは私にとってのGRです。M11もいいんですけどGM対比では重くて嵩張るのでTPOで使い分けます。特に換算70-200mmズームは失敗もなくM11を補完できるのでこれからも大活躍してもらう積りです。既報の「京都フォトウォーク」でも圧縮効果を楽しみましたよ。

    1. 鈴木隆浩

      たしかに、
      M11を買うとき、ライカ使いの人は、軽い軽いと言っていましたが、私は、おもっ、って思いましたよ。(^^;;
      ライカの前は、GM1かGM5だったからです。
      たまに孫の運動会でE M1mark2を使う程度で、E M1もM11に比べたら軽いですからねぇ。
      でも、当分は M11オンリーで楽しんでみます。
      ちなみにGM1に14㍉単焦点はまさにGRですよ。
      起動は早いし、いつも腰からぶら下げてました。

      1. ゼンマイオヤジ

        街中SNAPはM11と35mmで大抵は事足りますね。撮れない画角は諦めれば良いだけ。要はその覚悟があるか堂かが鍵ですけど。M11が叩き出す絵には毎回発見があります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です