【購入後10年を迎えたX-E2】

早いもので手持ちのX-E2も購入後、早10年目を迎えました。
既にメーカーによる修理受付も終了しており、今後部品交換が必要なる不具合が生じた場合には諦めるしかない状況となっています。これがデジタルカメラが「家電製品」と言われる所以です。機械式カメラや機械式時計と違って、デジタルカメラは「一生モノ」の対象にはならない(なりにくい)理由がここにあります。
幸い今までX-E2の不具合や故障に見舞われたことはありませんが、丁度タイミングよく富士フィルムによる無料メンテナンス実施の連絡があったので、渡りに船とばかりに
10年目のX-E2とXC15-45mmレンズをメンテナンスにお願いしました。
有難いことに週末土日の日程で全ては事前の予約制で助かりました。

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会場は市内の富士フィルム名古屋ビルで、昨年6月に発売前のX-S20のフォトウォークでもお世話になった会場です。富士フィルムやライカもそうですが、ユーザーに向けた各種セミナーや新製品発表会や撮影会、プロ写真家による講演会等のイベントを開催してくれるのは大変に貴重で有意義なことです。他ブランドの状況は知りませんが、今回も無料でメンテナンスしてくれるのは正に「神対応」でありました。

尚、富士フィルムでは普段は有料ですが「Xメンテナンス」と呼ばれる点検サービスを2018年以降、適宜受け付けています。気になる方は以下のリンク先でその詳細をご覧ください。
Xメンテナンスの詳細はコチラ:点検サービス(Xメンテナンス) | (fujifilm-x.com) 

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【電子シャッター速度に関する各社の哲学を知りたい】

X-EシリーズはX-E4の生産終了をもって現在では後継機種が途絶えた形になっています。動画撮影よりも静止画撮影に特化したSNAPシューター向けのカメラであり、そのクラシカルな箱型形状からしてもレンズ交換式では非常に貴重な存在でした。私がどうして10年間もX-E2を利用しているかと言えば、1630万の有効画素数は現在でも必要にして十分な解像度であり、特に2016年のVer.4ファームウェアアップデートでは、X-E2の性能がガラリと変わる程に機能が進化しました。新AF機能が強化され、瞳AFが追加されたり、1/32000の電子シャッターまで追加搭載されました。
因みにSONY でもニコンでも未だに1/16000秒以上の電子シャッターを搭載している機種が数少ないのはどうしてでしょうか。最新α7cIIでもニコンZfでも電子シャッター速度は機械式シャッター速度と同一止まりなのが不思議で仕方ありません。ライカM11でさえも1/16000秒まで搭載しているのに、SONYやニコン、キャノンの電子シャッターに関する哲学を知りたいところです。
逆に昔から高速電子シャッターを積極的に導入しているのが富士フィルムとPanasonicでしょうか。最新のX-T5やX-H2では1/18万秒の速度まで可能となりました。正に桁違いの速さです。NDフィルター無しでレンズ開放撮影の愉しさをトコトン味わえます。

X-E2には手振れ防止機能こそありませんが、それはX-Proシリーズでも同じこと。撮影上の障害にはなりません。という訳で、その後、X-E3が出ても、X-E4が出ようとも全く食指は動かず興味も湧かず、その代わりにX-Pro3とX-E2を併用することでイイ感じで使い分けが出来ているWin-Win関係を保っている次第です。

そんなこんなで、X-E2にはこの先、(カメラの)命が尽きるまで現役で頑張って欲しいと思っています。云わばX-E2が先か、自分が先に逝くかのロシアンルーレット状態にあることは内緒です。

【早速、Xメンテナンスをお願いしました】

約30分間で規定の検査&クリーニング項目を完了いただきました。
完成後のカメラもレンズも目に見えてピカピカとなりました。
決してお世辞で言っているのではありません。
強いて言えば、普段から大切に扱っているので大きな傷もなく、メンテナンス後は某Mカメラで言うところの「美品」扱いに相当するのではないかと思うほどに輝きも蘇りました。

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メンテナンス作業中の写真撮影を許可頂いたので数枚撮影しました。
グラスヒュッテのランゲ&ゾーネやジュネーブのヴァシュロンコンスタンタン、Watchlandのフランクミュラーの時計工房を訪問した時の光景がダブリました。
幸いにもカメラもレンズも大きな問題はなく、センサー上の微細な汚れも全て取り除いて頂きました。

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【デジカメの永続性について考えてみた】

今回、会場で富士フィルムの方と立ち話の機会を持てたことも大変参考になりました。
この機会に私からは以下をお願いしました:

『製品に関する情報公開をもっと丁寧にお願いしたい』
 例えばX100Vは受注停止状態が延々と継続中です。
 本当に受注再開するのか、このまま生産終了にならないのか、
 はたまた後継機種が登場してくるのかなどなど。
 X-Pro3に至っては既に生産完了で後継機種情報は皆無。
 企業秘密部分は別にしても一方的にドアを閉めるだけではユーザーとしては
 戸惑うばかりです。

『価格値上げの告知時期について』
 そして値上げですが、今日発表の明日から実施、というのは勘弁願いたいです。
 スーパーの売り出しではありません。大企業らしくありません。

 値上げ自体は仕方ありませんが、せめて一週間から一ヶ月前くらいの事前告知を
 お願いしたいと思います。

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そんな会話を通じて再認識させられたのは「デジカメの永続性」についてでした。
上述した通り「家電」にカテゴライズされるデジカメのメンテナンス期間には限度があると言うことです。どんなに素敵なデジタルカメラでも電子部品や代替部品が無くなればオブジェとしての大きな文鎮(飾り物)になってしまいます。

巷でマニアには絶大な人気を誇るCCDセンサー搭載のライカM9でも、センサー不具合問題も最早解決(交換)不可能になっています。エプソンのR-D1は新規バッテリー(註)の入手さえも出来ません。兎に角、電子部品は新たに生産することが出来ず、また未来永劫にメーカーとして部品を在庫する余裕も戦略もありません。そして、現実的にはユーザー自身も愛機に寿命が来れば最新性能を誇るデジカメに乗り換えることを選択し、古くて性能の劣るデジカメにしがみつくユーザーは少数派になることでしょう。


(註)最近サードパーティー製の互換用電池が登場しているが品質については不明。

結論としては、購入したデジカメはとことん使い倒すこと。
一緒に旅行したり、友人知人や家族との思い出をどんどん作ること。
風景写真でも趣味の世界でも持っている機材を眠らせることなく、機材をテコとして自分のクリエイティブな時間を構築してゆくことでしょうか。
大袈裟に言えばカメラは人生を前向きにさせてくれる大きなツールに成り得るでしょう。
でも、その過程で愛機への愛着も増えて自分自身の「補助器具」にまで育つかもしれません。そんなデジカメともいつかは別れの日が来ると思うとちょっと感慨深いものがありすぎます。この世は諸行無常の世界とは言え割り切ることはそう簡単ではありません。あ、ちょっと、感傷的になってしまいました。

現在のデジカメの性能は10年後でも決して色褪せない機能を有していると思っています。解像度は2000万画素もあれば趣味レベルでは十分であって、4000万画素以上にもなればパソコンの負荷も大きくなり使い勝手が大きく損なわれて一般ユーザーには扱いにくいレベルとなってしまいます。「高画素は猫に小判」という持論にはそんな背景があります。
X-Pro3の発売時には富士フィルムの販売企画の方も『10年後にも使えるカメラを目指した』と話していました。そうであれば最低でも生産中止後10~15年間は部品の在庫とメンテナンスを受け付けて頂きたいところです。

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ユーザーが愛機を長期間利用したいという願望とメーカーの直面する経営上の現実との間には大きな乖離があることを痛感させられた今回の「Xメンテナンス」でもありました。

最後になりましたが、今回の無料点検サービスの機会を与えて頂いた富士フィルムの皆様には心より御礼申し上げます。

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ピカピカになったX-E2と15-45mmズームレンズ。

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(2024/1/8公開)19605   ※ブログ内容は適宜、加筆修正しています。

ゼンマイオヤジ

ゼンマイオヤジ

2023年になっても愛機ラジオミールがゼンマイオヤジを離さない。
でもロレもオメガもセイコーも、フジもライカも好みです。
要は嗜好に合ったデザインであればブランド問わず食いつきます。
『見た目のデザイン第一主義、中身の機械は二の次主義』

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