【靴を楽しむ極意は快適さを求める「貪欲さ」にあり】

今年の異常な酷暑ももうすぐ終わる。
10月に入ればいよいよブーツの季節到来。今からその準備に余念がない。
元来頑丈な造りのブーツであればメンテナンス次第では生涯愛用するギアとなる。
ソールやヒールの減り具合、アッパーの痛みや内側の破れ、糸のホツレ等々、
AWシーズン入りする前に万全を期して臨みたいところだ。

.

【ガムライト製シャークソールの改造は本邦初公開】

今年2月のブログで「#2661GUMLITEのシャークソール」にオールソールを実施した話を披露した。
ラバーソールに発泡性樹脂の「EVA」を加えた結果、「軽量・耐衝撃性(柔らかい)・耐摩耗性」の3拍子が揃ったVibram®のGUMLITE(ガムライト)は自分にとってはON/OFFシューズを問わず、略万能のソール素材である。そんなGUMLITEがシャークソールに採用されたので、早速飛びついた話を前回紹介した。

しかし、つま先側のソール先端部分がフラットになっているので、歩行時の蹴り出し時の感触が予想通りでイマイチであった。フラット部分とギザギザとなっているシャークの歯との高低差に起因したものである。

.

【シャークソールって本当に心地良いのか?】

この点についてはSNS等で不満を述べるシャークソールのユーザーの声をかつて聞いたことがないので、恐らく自分だけの違和感だと思うのだが、靴を愛用する為には違和感があれば徹底的に改善を図るのがモットーである。そこで今回はプチ改造として、このつま先部分の段差を埋めるべくラバーの部材を先端に貼り付けることにした。つまり、シャークの歯ならぬ「下駄の歯」のような部材をつま先部分にも付け加えることだ。

「ヴィンテージ・スティール」ならぬ「ヴィンテージ風極厚トゥ・ラバー」の装着を目論んできたわけだが、いよいよアイデアを実行に移すべく機は熟した。

.

これがオリジナルのビブラム品番#2661のガムライト製シャークソール。
つま先部分の平らな面積がやや広いので、1枚目のシャークの歯との段差が生じて、
蹴り出し時に地面との段差をカクカクと感じてしまい、ポコポコと音がする。

【プチ改造の部材は合成クレープ素材で】

今回、相談に乗って頂いたのは地元のリペアショップ。
コチラの希望を説明の上、どのような部材を使うかはプロの選択にお任せした。
ポイントは部材に用いる「素材と色」である。形状は既にアイデアを練っているので簡単だが、問題はシャークソール本体の色に近い部材があるかだ。結果的には「合成クレープ」を採用することで事なきを得たのだが、この辺のカラーバランス感覚と部材の選択については流石にプロの成せる業である。勿論、このリペアショップとは過去にもお付き合いがあるので、全幅の信頼を寄せてのことだ。

***

以下写真の通り、丸でオリジナルソールのように見た目にも溶け込んでいる。
「合成クレープ」というのは、クラークスの「ワラビーブーツ」に採用されて有名な「天然ゴム製クレープソール」の弱点を改善した材質である。つまり、夏場には熱で溶けやすくベトベトして汚れやすいという天然ゴムの弱点を解消するために開発されたのが「合成クレープ」である。そのシート状の部材から今回はパーツを切り出して頂いた訳だが、こうしたことはアマチュアでは到底至難の業だろう。
素人がオールソールまで行う動画を最近目にするが、やはり専用工具・機械や部材、業務用の強力な接着剤は素人で入手することは不可能であり、加えて匠の技は仕上げ含めて全てがハイレベルにあるので、自分としては靴に関するリペアは基本的にプロにお任せしている。

***

今回は云わば「下駄の歯」を特殊な接着剤でソール先端部に新たに加えたような修理となったのだが、これで履き心地が格段に改善された。この「ガムライト製改造シャークソール」で温暖予想とされる今年の秋冬季節を闊歩する楽しみが一つ増えた訳である。

以上、全ては自己満足の世界の戯れ言だ。

当初、ヴィンテージスティールのようにネジ留めも考えたが無意味なので止めた。
つま先部分に金具を装着するのは歩道や建造物へダメージを与えることにもなるので避けている。
仮に少しでも剥離が生じたら再接着すればよい。
通常、再接着は修理店が無料で行ってくれるはずだ。
シャークソールとのカラーバランスも及第点だろう。
フロントフェイスも違和感はない。
2023-24AW用にField Jacket、Beanie Cap、Baker Pantsを新調した。
後はこのJalan Sriwijayaの改造シャークブーツと一緒に戯れるだけだ。

秋の到来を、というよりも、涼しい季節の到来をこんなにも心待ちにするのは初めてだ。
Shot with X-Pro3/XC15-45mm

(2023/9/21公開)7800

ゼンマイオヤジ

ゼンマイオヤジ

2023年になっても愛機ラジオミールがゼンマイオヤジを離さない。
でもロレもオメガもセイコーも、フジもライカも好みです。
要は嗜好に合ったデザインであればブランド問わず食いつきます。
『見た目のデザイン第一主義、中身の機械は二の次主義』

おすすめの関連記事

2 Comments

  1. 鈴木隆浩

    ソールの改造って、考えたこともないです。そういう発想も、靴を愛しているからこそですね。

    1. ゼンマイオヤジ

      靴好きにはソール改造は普通のことなんですが、「ソコ」までは考えなかった・・・ってやつですね(笑)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です