“SNAP David Hockney展@Royal Academy of Arts”

【生きるポップアートの巨匠】
デニス・ホッパーつながりでデイヴィッド・ホックニーについても回想する。

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現在、国内では27年ぶりに「デイヴィッド・ホックニー展」が東京都現代美術館で開催(2023.7.15-11.5)されている。ポップアートの「生きる巨匠」として有名であるが、彼の作品はポップアートと言う枠にはとらわれず長年に亘り意欲的な作品を発表し続けている。

【コラージュ写真の名作】
デイヴィッド・ホックニー(以下ホックニー)は1964年にアメリカL.A.へ移住後、1967年から35mmフィルムカメラで写真も撮り始めている。先に紹介したデニス・ホッパーが18歳(1954年)から写真家としても活躍し、デニスの撮影した写真にホックニーやアンディ・ウォーホル等が写っていることからも、彼らの間に親交があったことは間違いなく、デニスの写真好きがホックニーにも影響を与えたことは間違いないものと想像している。その写真表現を取り入れた当初は、白枠のあるポラロイド写真を中心としてコラージュ製作にとりかかり、その後35mmフィルム撮影にものめり込んでゆく。特に1982年から1983年の間はコラージュ写真作品だけに集中しており、その代表作としても有名な「龍安寺の石庭を歩く」は1983年2月の作品だ。モザイク絵画的でもある彼の一連の写真コラージュ作品には非常に興味をそそられる。
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【RAでのポートレート展】
そんなホックニーだが以前、母国ロンドンにある「王立芸術院(RA)」でポートレートの展覧会が開催された。ホックニーはRA の卒業生でもあり、1959~62年にここでアカデミックな手法から抽象絵画等を色々と研究・模索し、自分のスタイルを追求し続けた。当時、ロンドン市内で開催されたピカソ展にも多大な影響を受けたと言われる。彼の初期の作品にはピカソ、エドワード・ホッパーの香りを感じてしまうが、そのヴィヴィッドな発色や現代的なモチーフには現在に至るまで衰えを知らない。個人的には写真コラージュと同様に、カリフォルニアの明るい夏を感じさせるプールシリーズの絵画はお気に入りだ。

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今回の東京都現代美術館を見学する前にRAでの展覧会を回想してみる。
ロンドンRAでの展覧会では市井の人々を描いた82点の新作ポートレートと1点の静物画が公開された。ホックニーは著名人ではない地元の知人・友人達を描くことを好んでおり、一人一人の日常のポートレートが自然な姿である一方で、相変わらず原色や単色を多用したポップでヴィヴィッドな色遣いが強烈だ。地下鉄ピカデリーサーカス駅構内の大きな広告を見ると、嗚呼、これは紛れも無きポップアートだなぁ、としみじみと暫し見入った当時が懐かしい。

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今年で御年86歳を迎えた彼だが、今も現代美術の先端作家と呼ばれる彼の現在地をこの眼で東京で確認したいと思っている。

王立芸術院こと、「ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ」
この建物は「バーリントンハウス」と呼ばれ、ここはその中庭。
通年に亘り、各種の展示会が開催されている。
地下鉄駅「ピカデリー・サーカス」内の巨大ポスター。

【参考文献】「春はまた巡る」(青幻舎/2022.3.10初版発行)
ホックニーと評論家マーティン・ゲイフォードの対話形式のインタビューが秀逸で愉しい。

(2023/9/15公開) 7040

ゼンマイオヤジ

ゼンマイオヤジ

2023年になっても愛機ラジオミールがゼンマイオヤジを離さない。
でもロレもオメガもセイコーも、フジもライカも好みです。
要は嗜好に合ったデザインであればブランド問わず食いつきます。
『見た目のデザイン第一主義、中身の機械は二の次主義』

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2 Comments

  1. 鈴木隆浩

    本当に広く深く、美術芸術の世界を探求しておられるんですね。
    そして東京にもお越しになってデイヴィッド・ホックニー展をご覧になられるというアクティブさ。
    tommyさんは、すごい人です。

    1. ゼンマイオヤジ

      コメント有難う御座います。何事も狭く浅く楽しむのがモットーです。

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