“Dennis Hopper写真展@Royal Academy of Arts”

手前右手の建物がバーリントンアーケードの入口。
その隣(中央)がRAことRoyal Academyの重厚な建物「バーリントン・ハウス」。
この道を真っすぐ行くとRegent Streetにぶつかる。

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Dennis Hopper(1936-2010/74歳没、以下デニス)を知る人も年々少なくなっている。
個人的にはアメリカン・ニューシネマの代表作『EASY RIDER』(1969)でピーターフォンダと共に主演した映画俳優としての記憶が強烈だ。しかし、彼は俳優と同時に映画監督、画家、写真家としても活躍したことを知る人は少ない。
1996年には日本国内において「デニス・ホッパー写真展」が開催されたのだが、生憎と筆者の記憶からは欠落している。

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2014年にロンドンの『王立芸術院』ことRA(=Royal Academy of Arts)に於いて彼の写真展が開催された。『EASY RIDER』のチョッパーでアメリカ大陸横断シーンが大型スクリーンに投影される中、全モノクロ写真で構成された展示会であった。50~60年代当時のアメリカの写真を食い入るように鑑賞したことをまるで昨日のように記憶している。

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2010年にデニスの訃報を聞いた時は、少なからずもショックを受けた。
私生活でも我流を通し続けた波瀾万丈の人生を74歳まで生きたのは、ある意味、運命の悪戯かも知れないが、その強烈で鮮烈なる生き様が遠い日本まで轟いたのは彼の存在感の証でもあったことだろう。

デニスには様々なエピソードがある。
本人はヒッピーへの執着が強かったようだ。
写真家としての才能にも溢れる彼は、18歳(1954)から31歳(1967)までの間に精力的に写真撮影を行う。当時のアメリカの世相や日常を切り取った瞬間瞬間の『デザイン』に惹かれる。この若き時代に写真を通じてデニスはより多くの人脈を築いたり、見聞を広めたことは間違いない。写真撮影はデニスのとって絵画や映像同様の世界でもあり、後に開花するデニスの多才をはぐくんだ準備期間でもあったことだろう。この期間を経て1969年に映画『EASY RIDER』が衝撃的に公開されることになる。彼の奔放なる人生とは裏腹に、実に繊細な感性を持っていたのがデニスである。写真に表現される多感な若者の感性が瑞々しい。

写真展は全部モノクロームであるが、その当時の色合いは観る者の脳裏にそれぞれ独自の色彩となって蘇ったことだろう。

ポスターの最下段左側の写真中央の黒ぶち眼鏡の男性は若き日のデイヴィッド・ホックニーだ。
(左後方から、Andy Warhol、前列Henry Geldzahler、David Hockney、Jeff Goodman)
その隣の写真、キング牧師(1929-1968)をもこの距離で撮影したとは凄い。
尚、現在、東京都現代美術館で27年ぶりのD.ホックニー展が開催中(2023.7.15~11.5)

筆者にとって写真展での展示サイズはこの程度でも十分だ。
昨今の高画質デジタル時代になってからは、やたらと巨大写真が増えている気がするが、
観る側の心地良いサイズと言うのは精々四つ切までが標準だろうと言うのが持論。

(2023/8/25公開)5380        ※ブログ内容は適宜、加筆修正しています。

ゼンマイオヤジ

ゼンマイオヤジ

2023年になっても愛機ラジオミールがゼンマイオヤジを離さない。
でもロレもオメガもセイコーも、フジもライカも好みです。
要は嗜好に合ったデザインであればブランド問わず食いつきます。
『見た目のデザイン第一主義、中身の機械は二の次主義』

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2 Comments

  1. 鈴木隆浩

    ロンドンのバーリントンでもデニスホッパーをご覧になったんですね。
    tommyさんは本当に幅広い知識と教養をお持ちで、すごいです。
    現代美術館にもいらっしゃったとは、思い入れもひとしおに感じます。
    私も行ってみようかな、せっかく東京にいるんだし。(*´∀`*)

    1. ゼンマイオヤジ

      誤解されていますが、東京都現代美術館は訪問したことがありません。
      今秋には訪問したいと思っています。

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