“SNAP ‘Catherine Palace’@St.Petersburg”      (前編・エカテリーナ宮殿と聖イサアク大聖堂)

今回のバルト海クルーズのクライマックス。VISAなしでロシア入国である。
サンクトペテルブルグ、英語名ではセントピーターズバーグに到着した。

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ロシア入国の際には事前にVISA取得することが必須であるが、実は「VISA不要」で入国できる「裏技」がある。それが大型クルーズ客船によるサンクト湾入港である。
結論から言えば、VISA無しでもものの数分の入国審査でイミグレーションを通過出来た。
以前、モスクワ空港で入国時に荷物検査で色々と難癖を付けられたことを思えば、驚くほどスムースで信じ難い簡便さでありました。ある意味、これほど安全な入国者はあるまい。
スーツケースやハンドキャリーバゲージも無しで、丸腰か小さな手荷物一つのみで入国するのであるのだから。団体行動さえ管理できれば外貨を落とす「上客」に他ならないだろう。

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クルーズ船からは入国における詳細について知らされていないが、その条件とは概ね以下と思われる:
・クルーズ船下船後、全員がツアーバス移動で団体行動をすること(個人行動は厳禁)
・早朝の入港後、同日の夕刻にはクルーズ船が出港すること
・何人も当地での下船(=クルーズ船からの離脱)は許されない
・恐らく上記3点をクルーズ会社が徹底管理のもとで責任を負っているものと推測する。

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当日の訪問ルートは以下となる:
① エカテリーナ宮殿と庭園見学。英語名は「Catherine Palace」
② 聖イサアク大聖堂、その後、レストランで昼食
③ エルミタージュ美術館
④ ペトロパヴロフスク聖堂、土産店訪問、終了後にクルーズターミナルに戻る


まずは「前編」として昼食までのコースをFOTOLOGしてみる。

現地時間の朝5:30、サンクトペテルブルクのクルーズ船ターミナルに接岸。
クルーズターミナルにおける入国審査は我々のクルーズ客船の観光客のみ。
市内に幾つかある「跳ね橋」の一つ、ブラゴヴェンシェンスキー橋にて朝陽を浴びて。
サンクトペテルブルグ市内が実は跳ね橋の宝庫であることを知る人は少ない。
中央奥に見えるのがこの後に訪問する「聖イサアク大聖堂」。
サンクト中心部には高層ビルが建っていないのが分かるだろうか。

462mのヨーロッパ最高層ビル「ラフタセンター」はサンクト市の中心部からは外れる。
手分けして大型バスに乗り込み、早速、エカテリーナ宮殿へと向かう。この日の日の出時刻は6:54am
この日は新学期の初日。街中の母娘の姿と少女の持つ花束から想像が膨らむ。朝8:06撮影。
エカテリーナ宮殿の華やかな「正門」を通る観光客は我々のみ。  
エカテリーナ1世の夏の離宮として1717年に建設された。
サンクトペテルブルク市の南25kmに位置する。
その後、娘のエリザベータが第6代皇帝(女帝)となると放蕩三昧の改築と拡張を重ねて、
全長325mのロシア・バロック様式の大宮殿へと変貌した。
館内を傷つけぬように「靴カバー」は全員必須となる。
流石にハイヒール派は見かけなかった。
「鏡の間」豪華な天井画と金色で装飾された四方の壁に圧倒される。
もう一つの見どころが「琥珀の間」であるが、そちらは撮影禁止。

写真がないと記憶も薄れる。写真の本質とは「記憶のピン留め」であることをしみじみと感じる。
ピョートル大帝の二人目の妻となるエカテリーナ(1世)に贈られた宮殿が、
その娘のエリザベータ(2世)の時代に飛躍的に拡大発展した。
サンクトペテルブルクは「北のヴェネチア」であり、エカテリーナ宮殿は「北のヴェルサイユ宮殿」と呼ばれる。
どことなく『ドールズハウス』を連想するのは自分だけであろうか。
職業柄か性癖柄か、自然とタイムピースには目がピン留めされる。
続々と我がクルーズ船の「同胞たち」が到着してくる。
絶え間ない修復と維持管理。
戦禍で破壊された左半分の建物の完全修復はならず、殆どが新たに再建されたものだ。
こちらは宮殿の修復に多大なる貢献をした御仁との記憶であるが詳細は失念した。
ご存知の方がいれば教えて頂きたい。
宮殿の裏手にはコチラも見事なフランス式庭園が広がっている。
ヴェルサイユ宮殿を手本に増築されたのだ。

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次なる訪問場所が聖イサアク大聖堂(St.Isaac’s Cathedral)である。

旧市内で一番高い101.5mのドーム型大聖堂だ。
因みにバチカンのサン・ピエトロ大聖堂は約120mで、世界のTOP20は全て120m以上となる。大聖堂には大司教がいる点が通常の教会と異なる点だ。

現在の聖イサアク大聖堂は40年間の工事を経て1858年に完成した。第二次大戦時にはドイツ空爆の標的にならぬように金色のドームを灰色に塗り替えたという逸話も残っている。大聖堂と呼ばれる内部は何処も豪華絢爛な装飾を誇るが、聖イサアク大聖堂もその例外ではなく、美しい天井画やらモザイク壁画等、見ているだけでも時間を忘れてしまう。

この円柱は1本80トンの重量で赤い花崗岩から出来ているそうだ。
19世紀の技術でどうやって造ったのだろうか。先人の偉業に敬服する。
ヨーロッパの美術絵画や彫刻、特に教会系のルネサンス以降の作品群を理解する為には
多少なりともキリスト教の知識が必須となる。主題のすべてが聖書に由来しているので、
この背景を理解出来なければ味わいも半減してしまうことだろう。
このきらびやかでゴージャスな装飾はサンピエトロ寺院とアヤソフィアを連想する。

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昼食は市内某所のビアレストランで「ビーフ・ストロガノフ」を愉しむ。
その語源については諸説あるが、一般素人受けするのが「18世紀の貴族ストロガノフ侯爵が年老いて歯がなくなり好物のビーフステーキを食べれなくなったので、コックが柔らかく煮込んだ料理を発明した」と言う逸話だが、Wikipediaには別の逸話が有力だとも言われている。こう言う論争はエンドレスで楽しいのでどんどんやって欲しい。

兎にも角にも、効率的な移動や食事の手配も含めてこの便利さはクルーズ船のプログラムならではであり、計り知れない安心感も味わうことが出来るのだ。

これがサンクトペテルブルグが発祥の地と言われる「本場」のビーフストロガノフ。

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さて、昼食の終了後には、いよいよ「エルミタージュ美術館」へと向かうのであります。

(2023/7/10公開)3827

【参考】
・ロシア入国に関する情報は最新のものではありません。
・2023年7月10日時点で、外務省による対ロシア危険情報ではウクライナとの国境周辺地域が
 危険度4(退避勧告)、その他の首都モスクワ含むロシア全域は危険度3(渡航中止勧告)となっています。
・詳しくは外務省の「海外安全ホームページ」をご覧ください:

  外務省 海外安全ホームページ (mofa.go.jp)

ゼンマイオヤジ

ゼンマイオヤジ

2023年になっても愛機ラジオミールがゼンマイオヤジを離さない。
でもロレもオメガもセイコーも、フジもライカも好みです。
要は嗜好に合ったデザインであればブランド問わず食いつきます。
『見た目のデザイン第一主義、中身の機械は二の次主義』

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2 Comments

  1. 鈴木隆浩

    本当に世界中をお知りですね。そしてしっかりとした小ネタ(VISAもことなども含めて)もあるし、探究心あるTommyさんらしい解説も驚くことばかりです。
    ロシアは、歴史もあるので、建造物も絵画もアンティークな小物も多そうで、
    芸術的な国ですね。
    ビーフストロガノフの由来も初めて知りました。

    1. ゼンマイオヤジ

      VISA無し入国は実際に入管を通るまでは疑心暗鬼でしたが、こうした柔軟な対応を取ることは大いに評価できます。「ストロガノフ」が人名とはトリビアですね。
      自分はこの先、ビーフステーキの方をまだまだ味わいたいので、ビーフストロガノフは10年後まで次点に回したいと思います(笑

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