“SNAP TALLINN@ESTONIA”             (世界遺産タリン旧市街フォトウォーク)

エストニア共和国はバルト三国のひとつだが、日本人には馴染みが薄い地域だろう。

正式な建国年は1918年だが、その後も周辺諸国の侵略を受けて1991年にようやく独立を「回復」させた。現在はNATOに属し通貨はユーロ。パソコン通話の「スカイプ」を発明したのがエストニアであり、現在ではIT技術の開発・活用を国家的に推進する「電子政府」の魁としても有名である。
エストニアの人口は僅かに130万人強。最大都市の首都タリンの人口は約42万人。日本国内の都市人口と比較するとさいたま市が約130万人、42~3万人は千葉県柏市、東京都品川区、愛知県豊田市が略同じと言う規模だ。

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エストニアを訪問する観光客の略100%が訪れるのが、世界遺産にも指定されているタリンの旧市街こと「タリン歴史地区」。旧市街は中世の城壁都市であり、城壁や建物の壁面でグルリと囲まれている。観光は丸一日もあれば十分なのでフィンランドなどからフェリーで日帰りする観光客も多い。冬場は海も荒れ気味になるが、ライトアップされた旧市街を想像しただけでも訪問したくなる。我々はクルーズ船の日程に従って日中の自由観光のみで散策してみた。

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中世の街並みがそのまま残されている美しい光景はとても落ち着いている。大都市によくある喧騒は何もない。そこにいるだけでもエストニアの歴史に包まれるようで十分な感動をおぼえる。小さな街並なので時間を気にすることも無く、食事を愉しんだり、現地店を覗いたりしてのんびりと散策することをお勧めしたい。
まるで大自然の中にいるかのようで、物静かで治安も良い場所であります。

タリンに到着したMSCポエジア(右側)は9万トン。
左はオランダ船籍のロッテルダム号(6万トン)。3万トンの差は数字以上に大きい印象だ。

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到着したフェリーターミナルでは朝から土産物店が並ぶ。

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この絵皿と全く同じ光景を実物で見ることになる。勿論、実物に勝るものはないのだが。

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世界遺産の「タリン旧市街地図」。何となく広さを想像頂けると幸い。

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タリンからストックホルムに向かう”エストニア号”が洋上で謎の沈没したことに対する慰霊碑である。
今回の自分たちの航路と逆方向で悲惨な事故が起きてしまったのだが、沈没原因は定かではない。

犠牲者の安寧を守るための法律により、沈没事故地点での潜水活動は禁止されているそうだ。
未だに何も引き上げられていないのが何とも不可解で不憫だ。

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「三姉妹ホテル」(Three Sisters)と呼ばれる三軒長屋的なホテルは識別し易い。

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「エストニア海洋博物館」は中世の砲台塔を改造したもの。倉庫や監獄としても利用された。
別名「ふとっちょマルガリータ」と呼ばれ、この歴史地区の最北端にあるモニュメント。

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タリンの最古の城壁は13世紀に造られ、以降16世紀まで強固な防衛システムとして建造された。
写真はヌンネ、サウナ、クルジャラの塔を結ぶ城壁(=Nunna-, Sauna- and Kuldjala Tower)
内部は簡易博物館となっており、階段で城壁上部まで登れば旧市街とトーンペアの景色を堪能できる。

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赤いトンガリ帽子の塔は旧市街全体で20ほどあるらしい。どれもがフォトジェニック。

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中世の欧州らしい店舗サイン。

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こうしたユニークな看板だけを撮影した写真作家もいらっしゃる。
これも欧州全般で共通する「看板文化」であろう。18:00には閉店するのでネオンは不要だ。

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屋根にある風見鶏だが、微細な点までの造形美が素晴らしい。

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アレクサンドル・ネフスキー大聖堂。1894~1900年建造。
ロシア正教の大聖堂であるがゆえに、帝政ロシア支配を連想させるとして嫌悪感を持つ国民もいるという。

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トームペア城。13~14世紀に建設された城であるが現在では国会議事堂の役割を果たしている。
外見からは「城」とは程遠いデザインだが、ピンク色の外壁がオシャレ。

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高さ46mの展望塔は「のっぽのヘルマン」。ここから見るタリンの眺望は見事。

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トームペア城前から続く「長い脚」と呼ばれる石畳の道はピック・ヤルグ(Pikk Jalg)通り。
壁には地元の画家が描いた作品が販売されている。
ラエコヤ広場(Raekoja Plats)。旧市庁舎跡でもあり、市庁舎広場とも呼ばれる憩いの広場。
土産物屋、食料品などの露天が林立する観光客向けのイベント広場として有名。
この周辺には美味しいレストランも数多く集まっている。

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ここで思わず鉄製の仰々しい栓抜きを購入した(写真中央下の木製の柄があるモノ)。
昨今のご時世では栓抜きする機会はほとんどないが・・・
蛇にグラスのモチーフは欧州で一般的な薬局マークである。

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”Town Hall Pharmacy” 欧州最古の薬局と言われ、タリンで最も古い商業店舗である。
イタリア・フィレンツェにある最古の薬局「サンタ・マリア・ノヴェッラ」の起源は1221年だが、

正式に薬局として認可されたのが1612年。
と言うことはこのタリンの薬局は
1422年から今日に至るのでタリンに「古参薬局」としての軍配が上がりそうだ。

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聖カタリーナ通り。左右の石造りの壁をつなぐような不思議な梁が目印。
左右には工芸品を扱う店舗が並んでいる。

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アンティークショップを覗いてみた。
写真を見直すと右上の6角形の腕時計が凄くイイ雰囲気を出している。惜しいことをした。
この懐中時計?が何を意味するのか分かる人は「通」です。
コチラでは何を会話しているのかと思いきや、時計修理店でした。

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タリンの時計師さんも大繁盛のご様子。

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コイツは何者だ!?手持ち式眼鏡が泣かせる。
PIKK通り25番地のアールデコ調の建物には
通称「のぞき見トム」(Peeping Tom)と言われる像が鎮座する。
何でも向かいの家を覗いていた実在の人物らしいが真偽のほどは定かではない。

傷んだ外壁を覆う金網が生々しい。

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昼食は事前に狙いを定めたエストニアの郷土料理の店
『クルドゥセ・ノッツ・クルツ(Kuldse Notsu Korts)』
このソースたっぷりのすね肉とジャガイモ、ザワークラウトがビールに合う。評判通りで満喫した。
時間が来たのでタクシーでフェリーターミナルに戻る。
素朴な中世の街並みと家庭料理の味を満喫してタリンの街並みを満喫出来た。
クルーズ旅行だからこそ気軽に来れた場所だ。
ロッテルダム号とタリン旧市街に別れを告げる。素敵な邂逅でありました。
バルト海では想像以上に海上交通が発達していることを痛感した。

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さて、次なる寄港地は今回のバルト海クルーズの最大の目玉となる場所だ。

(2023/7/7公開)3763    ※ブログ内容は適宜、加筆修正しています。

ゼンマイオヤジ

ゼンマイオヤジ

2023年になっても愛機ラジオミールがゼンマイオヤジを離さない。
でもロレもオメガもセイコーも、フジもライカも好みです。
要は嗜好に合ったデザインであればブランド問わず食いつきます。
『見た目のデザイン第一主義、中身の機械は二の次主義』

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4 Comments

  1. 鈴木隆浩

    素晴らしいブログを今回もありがとうございます。
    私は、歴史ある国としては、イギリス、トルコ。スペインにしか行ったことがなく、
    しかも数日の観光な上、興味深くいろいろ観てもいなかったので、記憶も薄いんです。
    しかし、Tommyさんは好奇心と探究心も格段に高く、その知的好奇心が趣味を超越してますよね。

    やはりですが、懐中時計の意味もわからなかったです。(;´д`)トホホ…

    それにしても、本当に素敵なクルーズ旅行ですね。

    1. ゼンマイオヤジ

      「懐中時計?」ですが「文字盤」上の数字と文中の「?」マークが大きなヒントになっています。ハイ、勿論、懐中時計ではありません。実はコレ、Pedometerなんですよ。欧州では古くから活躍している逸品です。我が国では「歩数」を独立した機器でカウントする概念も存在していなかったのではないでしょうか。ということで、もう一度写真をご覧ください。全てが氷解すると思います。

  2. yoyaya2

    旅情感漂う数々の画像とコメント、楽しませてもらってます。
    またお話を伺わせて下さい。

    1. ゼンマイオヤジ

      キュレーターになった積りで引き続きFOTOLOGを企画・展覧して参ります。どうぞ宜しく。

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