今回、本国英国より取り寄せたのがG10だ。
CWCの代名詞と言っても良いロングセラーモデルである。
冒頭写真のようにCWCには3枚看板がある。
ミルサブの後継となったダイバーズ、Valjouxムーヴ搭載のクロノグラフ、そしてこのG10だ。
3モデル共にミルスペックに基づく完成度の高いデザインであり、陸海空軍向けの三位一体コレクションでもある。
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G10の起源は1980年に英国国防省(MOD)向けに納入開始されたクォーツモデルに遡る。
当時はそのケース厚の為にFat-Boyとニックネームがついたことは有名だが、
現行モデルのケース厚は約10mmなので手首上での収まりは良い塩梅となっている。
Movementは汎用性の高いETA955系であるがこの機械のデザインは可也好み。
7石、25.6mm径、2.5mm厚のムーヴメントだが、何と言っても配線をあしらった地板デザインが気分である。このムーヴメントが入っていることを想像するだけで、GS9F系キャリバーと同様な満足感が得られる、と言えば言い過ぎだろうか。どこの馬の骨だか分からない無名のクォーツよりも、あそこの馬の骨と分かるETA製の方が断然安心感も倍増する。事実、この写真を見ても中身一杯に埋め尽くされたムーヴメントには、プラスチック製の陳腐なスペーサーなどが無いネジ留め式の本格派だ。
防水性能は5ATMなので水中での使用には向かないが、そこはミリタリー時計、
ちょっとした雨天や水濡れであれば何ら問題は無い。
つまり、通常のアウトドア(フィールド)ユースには楽々合格、と言う訳だ。
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マットな黒文字盤、サンドブラストをかけたような光反射を抑えたシルバーケース、
ケース一体型のリューズガード、小振りなケース形状等等、語るべき点はゴマンとあるのだが、筆者の一番の好みは裏面の『バッテリー・ハッチ』である。
SWATCHでは全モデルに採用されているアレだ。
電池交換の簡易性を考慮したハッチであるが、個人的にはクォーツ時計には全部、
採用して欲しい程の便利機構である。
この正式名称は不明だが、海外では『バッテリー・ハッチ』と呼ばれている。
潜水艦のhatchを連想させる呼称だが、hatchとは元来、昇降口を意味する。
正にボタン電池の昇降口であるのでバッテリー・ハッチとは云い得て妙、の表現だ。
このハッチさえあればコイン一つで電池交換が可能となる。
裏蓋をこじ開ける手間も傷付けるリスクも無い画期的な構造である。
CWCと良く混同されるMWCでは、このバッテリー・ハッチ構造は採用されていない。
CWC G10の最大の特徴を問われれば、筆者は躊躇なく『バッテリー・ハッチ』と答えるのだ。
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扨、これまで色々と御託を並べてきたが、最後にクイズです。
この時計は裏面に「W10」と刻印がありがながらどうして「G10」と呼ばれるのでしょうか。
答えは書きません。謎解きが出来た方は立派な「ミリタリー時計通」です。ご武運を。
【参考】CWCのHPにG10の歴史について詳細が述べられているのでリンクを貼っておく。
(2023/6/26公開) 2845
W10がG10という理由、いろいろ調べてしまいましたが、いまいちよくわかりませんでした。
そもそもW10というのは、手巻きがあって、その後クオーツの G10が出て、アクリル風防がサファイヤになって
などなどの記述がありましたが、結果的には、わからないままです。
コメント返信で、ぜひ、ご教授くださいませ。m(_ _)m ペコッ
今朝ほど、ご本家CWCのオフィシャルインスタ(ストーリーズ)でも私のブログを紹介頂きました。ちょっと意外でしたがこういう能書きも偶には良いかなと。G10呼称については興味ある方に暫しの間お考え頂ければと思っています。その過程で新たな発見があるかも知れませんので。