“Bell&Ross/Crazy Horse Leather Strap”

『焼き印』を入れた純正ストラップを出したのはBell&Rossが初めてではなかろうか。
ワンポイントで(&)マークと全面にスタンプされた2種類。
どちらも出色の出来栄えだ。
因みにこの『焼き印ストラップ』を気温40度の炎天下で30日間晒したが、焼け等の変色は無かった。

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【ストラップ着せ替えの愉しみ】
愛機ベルロス用には、潤沢に交換ベルトを揃えている。
その中でも、通称『オーストレッグ』こと、オーストリッチの脚革製を長らく装着してきた。
カナダから取り寄せたカスタムメイドなので製作者のサイン入り。
世界で1本モノの可也、個性的なベルトである。
黒色にペイントされた凸凹ある表皮の光沢が艶めかしく、
裏側のオレンジ色に施したゴートスキンもまた一興。

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オーストレッグの醍醐味は、ガルーシャとクロコ竹斑&丸斑が混在するような色気と圧倒的な存在感だ。
ストラップ交換時には付属されている専用の六角レンチを使うのだが
通常のバネ棒と違って簡単に着脱できることが嬉しい。
裏面は淡いオレンジ色に染色されて、作家のサインが刻まれている。
ハンドメイドの証、一点モノの証としてユーザーの所有欲をくすぐる。
クラスプはマットブラック塗装されたプッシュ式ダブルバックルタイプを装着。
ストラップを傷める度合いも少なく利便性も抜群。
装着するとこんな感じだが、見た目以上に手首上でも座りが良く快適。
一方、コチラはオーストレッグ製の前に愛用していた赤色ストラップ。
『太鼓の音』製で安価なクロコ型押しだが、気楽に使えて非常に重宝した。
何よりもベルロス本体の黒色との対比で『元気が出るストラップ』である。

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今回、気分転換を兼ねて、今や時計業界を席巻しているレザーベルトをアメリカより取り寄せた。

● 通称: クレイジー・ホース・レザー
● 素材: 牛革

ホースと言っても馬革のことではなく、牛革の表面をヤスリで凹凸を付け、
肌触りの良いヌバック調に仕上げたものだ。オイルを染み込ませやすくする製法である。
しっとりとした質感が特徴的であり、最初から使い込んだ風合いが目にも優しい印象を与える。革質によっては磨けば磨くほど光沢が増すものもある。

別名、VINTAGE LEATHER、ANTIQUE LEATHER、DISTRESSED LEATHER、
DAMAGED LEATHER、AGED LEATHER、等とも呼ばれ、大手HORWEEN社からも
そうした各種製品としての原皮がベルトメーカーに供給されている。

※因みに「皮」と「革」の違い、「スェード」と「ヌバック」の違いはご存知と思うので省略。知らない方はこの機会に是非確認して頂きたい。

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この種のストラップが一般的になったのは、この5~6年であり、今ではスイス大手有力メゾンもこぞってOEM採用していることは周知の事実。最大の魅力は、独特な味のあるヴィンテージっぽい見た目と風合いにある。

過去長年に亘り、レザーストラップはその素材本来の特性に基づく種類しかなかったのだが、近年ではヴィンテージ加工やパンチング加工、はたまた個人製作による別注も自在に出来るようになった。その選択肢と面白さが格段に広げられてことは腕時計ユーザー冥利に尽きる。

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Crazy Horse Leatherの製法についてはメーカーによって異なるが、主な共通仕様は以下となる:

● 新品レザーでありながら、表皮を荒らす仕上げでアンティーク風に仕上げる。
  ※ジーンズで言えばストーンウォッシュ加工、ダメージ加工、ブリーチ、スクラッチ、
   ペイント加工等等であり、明らかにそうしたジーンズ業界の先進技術に刺激を受け、  
   時計ベルトにも応用されたと解釈している。
● 本来の強度は損なわないことが原則。
● ペイント後に部分的に剥がしたり、傷ついた風合いを加えるなどして
  人工的な仕上げ行うこともある。
● レザーは光沢ある銀面側でもヌバックでもスエードでも良いのだが、
  個人的には仕上げの風合いはヌバック調が好みである。
● 場合によってはベルルッティのようにレーザー刻印入りもあるがそれは更に特殊部類となる。

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前置きが長くなってしまったが、今回入手したCrazy Horse Strapがコチラ。
アメリカより調達したのだが、ベルロス用には肉厚レザー(約4mm)であることが第一条件。

美錠はオリジナルのシルバーからマットブラックタイプに変更した。
ヌバック等と同様に表皮上の傷は指でなでると消えるものもある。
もう一つのコダワリは定革と遊革を兼ねる極厚・幅広の1枚式のワッパ。
肉厚ベルトに2枚ワッパは邪道だろう。

裏面の細かい凹凸ある模様はスムースレザーをエンボス加工したもの。
これにより多少の汗や水分でも腕にべたつく感触を和らげる効果がある。
既にサマーシーズンを何度か経験してきたが、耐汗上の問題は何もない。
但し、防水用ではないのでこれで水中に入ることはご法度。

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【角型パネライの妙】
このCrazy Horse StrapにはWバックル式クラスプではなく、写真のノーマル式美錠を使っている。気分的にこのストラップにはノーマル美錠が似合うと思っているのだが、日常使いの着脱面で特に不都合は感じない。

このベルロスのケース幅は42mm(竜頭除く)であるが、装着性が抜群に宜しい。
左手に装着した場合、ケース右側(竜頭側)のラインが一直線であり、手首上での収まりが非常に良好。これは意外であったが、PANERAIブラックシールの45mm径のように竜頭が手の甲に食い込むことも無く、断然心地良いのだ。


僕は『角型パネライ』とも呼んでいるが、ベルロスは見た目の迫力とは裏腹に装着して初めて奥深い楽しみが分かる時計である。
ストラップ着せ替えも含めて。


(2023/2/17公開)  ※ブログ内容は適宜、加筆修正しています。

ゼンマイオヤジ

ゼンマイオヤジ

2023年になっても愛機ラジオミールがゼンマイオヤジを離さない。
でもロレもオメガもセイコーも、フジもライカも好みです。
要は嗜好に合ったデザインであればブランド問わず食いつきます。
『見た目のデザイン第一主義、中身の機械は二の次主義』

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