“フルサイズ40mmF1.4とAPS-C 35mmF1.4を撮り比べた”

【開放F値とボケの関係について】

先日、ある方がセンサーサイズの優劣について語っていた。
「35mm(以下、フルサイズ)、APS-C、マイクロフォーサーズ(以下、MFT)では、やっぱりセンサーサイズの大きい方が写真は綺麗に見える」、云々と。
僕はこうした議論には全く興味もないし、賛同もしない。

更にはこんなことを言う人もいた:
「レンズの明るさは同じ開放絞りでもフルサイズとAPS-Cでは異なる。ボケについても同様だ」、云々。

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【センサーサイズが変わろうともF値の明るさは同じ】

この人の言っていることはAPS-CのF1.4で撮影した場合、レンズの明るさはフルサイズでは1.5倍のF2.0相当、MFTのF1.4で撮影した場合にはフルサイズのF2.8相当になるというのだ。

しかし、流石にこの説明は間違っている。
センサーサイズが変わろうともレンズのF値(=明るさ)は同じであるからだ。

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【ボケの量は焦点距離で異なる】

但し、ボケについて言えば、各センサーサイズで焦点距離が異なる為に差異が生じる。
フルサイズと比べた場合には:
● APS-C(1.5倍):約1段分の差(F1.4 → フルサイズ換算F2.1相当のボケ感)
● マイクロフォーサーズ(2倍):2段分の差(F1.4 → フルサイズ換算F2.8相当)
となる。

つまり、レンズを通る光の密度(明るさ)はセンサーサイズに依存しない。
APS-Cでもマイクロフォーサーズ(MFT)でも、F1.4はフルサイズのF1.4の明るさと同等として機能する訳だ。
一方、ボケ具合と言う観点からは、確かにAPS-Cではフルサイズレンズの約1.5倍のF値レンズ相当、MFTでは同F値相当の2倍のボケ具合になる。
レンズの明るさとボケ具合は別物、ということだ。

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更に言えば、焦点距離が重要となるので、APS-CやMFTのF1.4レンズで撮影しても、被写体との距離を縮めればフルサイズF1.4と同等のボケ量は得られる。つまり、APS-C でもMFTでも被写体に寄って撮れば相応のボケ量は得られるということだ(※但し、パースはフルサイズとは全く異なるが)。

そんなことを考えながら、今回はライカ用のフルサイズレンズ・NOKTON classic 40mmF1.4SCと富士フィルムのXF35mmF1.4Rレンズ(APS-C)で撮影してみた。両者の焦点距離が異なるので、正確な比較とはならないが、結論から言えば、「そんな細々したことよりも、撮りたい被写体を、好みの構図で、好きな設定で撮る楽しみを味わうこと」の方が遥かに重要ではないかということだ。個人的な趣味の範囲内であれば、気軽にカメラを持ち出して、感性を研ぎ澄ませつつ、バシバシ撮る満足感に浸る、ことを重要視した方がもっと重要であり生産的だとさえ思っている。
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【作例】

以下、NOKTON classic 40mmF1.4SC(シングルコート)とフジのXF35mmF1.4R(35mm換算53mm相当)を絞り開放で撮り比べてみる。

LEICA M-11 + Voigtländer NOKTON classic 40mm F1.4 SC(実際のF値不明)

M11では露出データがあっても、それはカメラ内で読み取ったものなので、レンズを通した実際のF値ではない。ライカM型カメラには電子接点がないので、正確な露出データは把握できない。
6bitコードも電子接点とは言い難い。何故なら白黒で塗りつぶした手書きコードでも同じ結果となるからだ。6bitコードはあくまでレンズ種類の特定をカメラ側に伝達する役目となる。
つまりM11で撮影したEXIFのF値は「推定値」。記録されるF値は、カメラの外光センサーと撮像素子の受光量を比較して算出した「おそらくこれくらいだろう」という予測データとなる。
そのため、実際のレンズ側の絞り設定と食い違うことが多々生じる。

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FUJIFILM X-Pro3 + XF 35mm F1.4 R (Velvia V2)

富士フィルムの「神レンズ」と称されるXシリーズ初のレンズは、今年で発売後14年目を迎えた。ライカM11でもX-Pro3でも、日中にF1.4絞り開放で撮れるのは電子シャッターがあってのこと。
特に富士フィルムの電子シャッターは、X-T5では18万分の1秒まで高速化出来る。
つまり、日中の撮影時にNDフィルター無しでも大きなドバンテージになるだろう。
これは現在、業界最速の電子シャッターだと思うが、他社では廉価~中級モデルでも1/8000秒でとどまることが不思議である。

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LEICA M-11 + Voigtländer NOKTON classic 40mm F1.4 SC

手持ちのNOKTON40mmはシングルコートだが、レンズ特製によるものか、背景のボケが少し暴れている。製造元コシナの説明では、「ノクトン・クラシックは、絞り値に関わらずシャープでコントラストも高い現代のレンズとは一線を画すクラシカルな描写です。特に開放では柔らかく、絞れば鋭い切れ味を発揮」するとのことだが、出来れば開放時にもう少し柔らかい方が好みだ。ライカ・タンバールのような甘くとろけるような個性的なソフトフォーカスレンズを、今後の40~50mmクラスのレンズで是非とも開発して欲しいものだ。

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FUJIFILM X-Pro3 + XF 35mm F1.4 R (Velvia V2、 絞りはF3.2)

XF35mmF1.4の背景ボケは自然でなめらか。非凡な標準レンズ、超軽量でコンパクト。
何よりも絞り環で簡単に「露出優先」を調節出来るのが嬉しい点であり、富士フィルムの矜持でもあるだろう。

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LEICA M-11 + Voigtländer NOKTON classic 40mm F1.4 SC

NOKTON 40mmF1.4Sのボケは決して悪くはない。
この写真では光が当たった部分の玉ボケがガラス玉のようになるところが美しいと感じる。

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FUJIFILM X-Pro3 + XF 35mm F1.4 R (Classic Negative)

こちらはクラシックネガ独特の色表現。緑色味が濃く出るのが特徴。
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LEICA M-11 + Voigtländer NOKTON classic 40mm F1.4 SC

ライカのカラーサイエンスは自然な発色。
但し、露出が間々暴れるので、レンジファインダー撮影では撮ってみないと分からない。

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FUJIFILM X-Pro3 + XF 35mm F1.4 R (Classic Negative)

クラシックネガの特徴的なグリーンの色合いだが、赤系やピンクの発色も独特なので、ユーザーにとっては好き嫌いがはっきり分かれる点だろう。

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LEICA M-11 + Voigtländer NOKTON classic 40mm F1.4 SC

レンジファインダーで合わせにくいのが木々や小さな葉、髪の毛や揺れる花びらなどの細かい被写体だ。二重像合致方式では、どこがどこやら分からなくなる時も多い。そんな時は、背面モニターで「エイヤ!」で撮ることにしている。

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FUJIFILM X-Pro3 + XF 35mm F1.4 R (Velvia V2)

ユーザーに不人気な全群繰り出し方式だが、今では慣れてしまった。
EVF付きのミラーレスは楽なことには違いない。

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LEICA M-11 + Voigtländer NOKTON classic 40mm F1.4 SC

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FUJIFILM X-Pro3 + XF 35mm F1.4 R (Classic Negative)

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LEICA M-11 + Voigtländer NOKTON classic 40mm F1.4 SC

こうした細かい被写体で二重像を合致させるレンジファインダー方式は正直、辛いことも。

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FUJIFILM X-Pro3 + XF 35mm F1.4 R (Classic Negative)

この緑色には人工的なカラーサイエンスで、現実離れした色彩にドキリとすることもある。
上のライカと比較すれば一目瞭然だが、被写体を選ぶフィルムシュミレーションが、このクラシック・ネガと言えるだろう。料理撮影には明らかに向かない。

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(参考) X-Pro3とライカ現行35mmズミクロンで撮影したブログはコチラ

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(2026/4/1公開) 203800      ※ブログ内容は適宜、加筆修正しています。

ゼンマイオヤジ

ゼンマイオヤジ

2024年になっても愛機ラジオミールがゼンマイオヤジを離さない。
でもロレもオメガもセイコーも、フジもライカも好みです。
要は嗜好に合ったデザインであればブランド問わず食いつきます。
『見た目のデザイン第一主義、中身の機械は二の次主義』

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