“LUMIX S9に「疑似ライカM型ミラーレス」を妄想する”

【M型ライカ愛好家にとって大化けの可能性を秘めたLUMIX S9】

唐突に登場した感のあるLUMIX S9。
そのシンプルな顔立ちは正面から見るとマイクロフォーサーズのGM1やGM5、
そして僅か1年半の短命に終わったフジフィルムX-E4のデザインを連想する。
未だGM1&GM5を愛用する筆者としては「箱型カメラ」の新型登場を大歓迎している。
但し、巨大なLマウントの直径が俄然目立っているのが少々気になる点だ。

EVFがないとか、バリアングル式モニターとか、理解に苦しむコールドシューのみ、電子シャッターのみ、等々は既存事実の仕様であり、ここで無いものねだりを云々する気は毛頭ない。
但し、電子シャッターは11年前に発売されたGM-1でも1/16000秒まであったのにS9では1/8000秒止まりというのは解せない。裏を返せば上記の点を含めてS9は静止画用というより動画用に重きを置いたカメラと言う素性が良く分かる。
個人的には動画撮影には興味が無いのだが、不足の点を敢えて飲み込んだ上で、
S9のスタイルから連想する『M型ライカのミラーレス的活用法』に焦点を絞ってみる。

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愛用中のLUMIX GM5(左)はEVF内蔵、GM1(右)にはポップアップ式フラッシュが内蔵される。

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【フルサイズ用レンズをそのままの焦点距離で使える魅力】

豊富なMマウントレンズ群をマウントアダプターを介して様々なミラーレス機で愛用しているユーザーも多いことだろう。筆者もその一人であり、主にフジフィルムXの機種で利用しているが、APS-CやMFTに装着すると焦点距離が1.5倍や2倍となることが時に利用を躊躇する理由となる。M型レンズの中央部の美味しいところを使った絵が撮れることは良いのだが、やはりレンズ本来の画角をフル活用して、逆に収差さえもレンズの味として隅々まで楽しみたい欲求は常に心の片隅でくすぶり続けることになる。

MマウントレンズをSONY機で撮れば美しい絵が撮れるし、大人気のNIKON ZFで撮れば、クラシカルな雰囲気も同時に満喫できるだろう。しかし、「箱型カメラ愛好家のメランコリー」でも述べたが、そのようなミラーレス機では個人的には写欲も湧かず、α7cやSIGMA fpでもしっくりとこない。
そこに登場したのがLUMIX S9であり、デザイン的にはM型ライカのミラーレス版と言っても過言ではないその容姿が魅力的に映る。

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店頭で実際にS9に新26mmパンケーキレンズを装着するとその軽量さに驚く。
軽量コンパクトさと質感はトレードオフの関係にあるとは言え、LUTとクロップズーム機能は魅力的だ。
カメラもレンズもこれ以上はない超軽量で、丸で『フルサイズ版GM1』の容姿である。(2024/7/1追記)

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【EVF付きM型ミラーレスについて述べたが】

昨年、「EVF付きM型ライカの未来予想図」でも述べたが、将来的にライカが真剣に開発する可能性はゼロではないと思う一方で、最新のSL3がありQ3がありMFTのD-LUX8も7月に新発売される現状を俯瞰すると、M型のミラーレス機が登場するとはまだまだ現実的には考え難い。
そこに登場したのが今回のLUMIX S9である。
EVFこそ省略されてはいるものの、LマウントであればMレンズ→Lマウントアダプターを装着することで豊富なMマウントのレンズ資産をフル活用することが出来る。おまけにヘリコイド付きM→Lマウントアダプターも市場には存在するので、これを使えば更に近接撮影も可能となる訳だ。有効画素数2420万画素のサイズもSNAP用としては好ましい。

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レンジファインダーの二重像合致式でピントを合わせる楽しみはM型ライカ独自のものだ。
しかし、最近では最短撮影距離が0.5mやもっと近距離まで撮影できるMマウントレンズも増えつつある。そうした場合にはレンジファインダーではピント合わせが出来ないので、背面液晶を見ながらの「スマホスタイル」で撮影することになる訳で、昨今のM型ユーザーでは通常のピント合わせでも最初から「スマホスタイル」で撮影するケースも少なくない。そうであればEVFがないLUMIX S9を使うことと何ら変わらないではなかろうか。

とは言っても人様がどう撮ろうと自由であるので、当たり前ながら要は自分自身がどこまで納得できて、どこまで妥協できるかに尽きる話であるのだ。

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ライカSummicron 35mmを装着したX-Pro3。
ヘリコイド付きマウントアダプターのお陰で近接撮影も可能となるが、

APS-Cセンサーでは1.5倍(=35mm換算約53mm)に拡大されてしまうのが
メリットでもありデメリットにもなる訳である。

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個人的にはVisoflex2の武骨な直方体をM型カメラに乗せることだけは避けたい。
その装着した姿は丸で「違法建築」を彷彿とさせる野暮ったさしか感じないからだ。
LUMIX S9の削ぎ落とされたシンプルなフォルムであれば小型のMマウントレンズ群を装着しても良く似合うと感じているし、加えてS9の大きな機能である強力な「IBIS」と途切れの無い「ハイブリッドズーム」が魅力的だ。特に後者のハイブリッドズームを使えば光学式とクロップズームがレンズ側のズームリングでシームレスに撮影できるところが凄い。勿論、単焦点レンズでさえもクロップズーム機能が使えることになるので、これはどんなレンズを装着しても複数の画角表現を愉しめることになる。

例えば20-60mm純正ズームレンズであればズームリングを普通に回すだけで最大180mmまで撮影が出来てしまうと言うから驚く(※但し画質は望遠側では相応に落ちる)。
また、マウントアダプターを装着する他社製の単焦点レンズでは電子接点がない為に、果たしてカメラ本体側の操作でクロップズームが出来るかが疑問点であったが、これも可能であることがLUMIX窓口と確認できた。但し、その場合にはモニター上の拡大スライダーには焦点距離は表示されないそうだ。

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LUMIX S9モニターの実写写真。
単焦点レンズも「クロップズーム」機能を使えば約3倍までの焦点距離が得られる。
モニター画面右側にズームスライダーと1mm単位で焦点距離が表示されるのも非常に便利だ。(2024/7/1加筆)

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加えて「LUT」(Look-Up Table)の活用が興味深い。
フジフィルムのフィルムシュミレーションのようなイメージを持つのだが、このLUT機能を駆使すれば重厚でシネマティックな色合いも表現できるだろうと期待値も大きい。
更にモノクロではその名も「LEICAモノクローム」を備えている。
ライカと協業するPanasonicでは心臓部の画像処理エンジン(ヴィーナスエンジン)までがライカと共同開発されたLTechnology(註)(エルスクエア・テクノロジー)搭載である。つまり両者のエンジンは基本的に同一であり、違いはライカ的な「味付け」のみということになる。

ここまでくればLUMIX S9は「赤バッジがないだけの最新鋭M型ライカ姉妹機としてのミラーレス機」とも言えるだろう。もしかすると、このS9をベースとしたライカ機が将来的に登場することもまんざら夢ではないかもしれない。

(註):L² Technologyは、「LEICA」と「LUMIX」という2つのLを象徴的に冠した両者の包括的業務提携であり、カメラおよびレンズの新技術、次世代ソフトウェアの分野で、両社の技術とノウハウを掛け合わせた協業により、新しい時代に新たな価値を提供する技術・ソリューションを生み出すことを目指している。

レンズと同軸上にモニターが来ないバリアングル式は個人的には好みではないが、普段はモニター固定式と考えればM10やM11シリーズモデルと同じである。チルト出来ない不便さはあるが、それはこの際、良しとしよう。いざとなればバリアングルで使えばよいのだから。
願わくばLUMIX S1や最新のGH7でも採用している「3軸チルト」の導入や、SONYα7RVで採用しているチルト派・バリアングル派の両者を満足させる「併用式」を他メーカーも今後は導入促進するべきだろう。

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ということで、改良希望点は数々あるのだが、差し当たり、
① ヘリコイド付きのM→Lマウントアダプターを用意し、
② 強力なIBIS、
③ ハイブリッド(クロップ)ズーム方式、
④ LUTの活用、
を組み合わせれば、LUMIX S9は「疑似・M型ミラーレスカメラ」として十分に楽しめるのではないかとの妄想と期待が膨らむのである。実物を触った上で、自分との相性を確認し、上述の不足点に耐えることが出来れば、LUMIX S9は最新の「箱型カメラ」として大化けする可能性を秘めていると感じている。

S9の発売日は2024年6月20日だが、既に供給不足がメーカー側より発表されている。
Pros/Cons両方の話題を豊富に抱えたS9だが個人的には久々に注目している絶滅危惧種の「箱型カメラ」である。

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(2024/6/15公開)39700   ※ブログ内容は適宜、加筆修正しています。

ゼンマイオヤジ

ゼンマイオヤジ

2024年になっても愛機ラジオミールがゼンマイオヤジを離さない。
でもロレもオメガもセイコーも、フジもライカも好みです。
要は嗜好に合ったデザインであればブランド問わず食いつきます。
『見た目のデザイン第一主義、中身の機械は二の次主義』

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2 Comments

  1. 鈴木隆浩

    魅力あるカメラが発売されましたね。私も興味津々です。

    1. ゼンマイオヤジ

      個人的印象としてS9本体の質感はGM1より劣りますが、IBISとLUTとAFが魅力の「疑似Mマウント用の箱型カメラ」です。

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