“坂道角度と圧縮効果の考察”

【主観もいいが、何事も数値での客観的補足は必須】

時計やカメラの重さを表現する際、「とても軽い」とか「非常に重い」等の言い回しがプロのコメントからも聞こえてくる。しかし、軽い・重いという抽象的な表現だけでは個人の主観でどちらにも取れるので全く参考にならない。

今年の「CP+2024」の壇上で、某プロ写真家が某社の新型ズームレンズを評して、「800gなので従来品と比べればヒジョーに軽い」と宣伝していたが、これも主観が偏り過ぎている例だろう。具体的には『従来品より何グラム軽くなったので』という比較基準がないと、人によって800gの重量に対する感じ方が異なるからだ。

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主観を主観として述べるのは結構だが、重い・軽いの基軸を確りと示した上で実際の数値を開示し、聞き手や読み手側に判断させることが必要である。
例えば自分の場合、腕時計ならブレスレット込みで130gが快適に装着できる上限と設定している。カメラ単体であれば電池込みで500~600g以内を理想としている。悲しいかな、今では国産ダイバーズ時計でも金属ブレス込みでは150g超の重量が普通の世界になりつつあるので、それをひとくくりに重い・軽いと抽象的に表現されても具体的なイメージが湧いてこない。

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【急坂の定義を考えてみた】

個人的に、重量ともう一つ気になるのが坂道である。
「急な坂道で疲れる」、「丸で45度くらいありそうな急坂だ」、等との抽象的表現や誇張が過ぎる表現を良く見聞きするが、さて急坂とは実際には何度くらいになるのか考察してみた。

国内で一番の急坂と言われる斜面が何度になるのかはっきりしないが、東大阪にある有名な暗峠(くらがりとうげ)は最大斜度が26度(註)と言われている。個人的な体感上では凡そ斜度(=水平面からの角度。以下、角度と表示する)が18~20度になるとかなりの急坂であり、後期高齢者にはジグザグでも登ることは可也の難行となり、一つ間違えれば坂下側へ転倒してしまう危険性さえもあるだろう。
かつて国交省によれば「徐行時に小型自動車等と普通自動車が登坂できる」坂道についての試験をしたようで、その限界角度が17.7度と言われているのも参考になる。

(註)YAMAHA電動自転車のCMから引用。

そんなことも念頭に、近所の坂道の角度を実際に測定してみた。
測定方法はi-phoneの水準器を利用したのであくまで参考値・目安となる。

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【CASE1】

名古屋地方観測台そばの「急坂」。
可也の急坂に見えるが、測定角度は16~17度であった。
自動車が下り方向のみの一方通行路ということは、
やはり登りにする道路としては安全運転上、急すぎる角度と言うことかもしれない。

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【CASE2】

2番目のケースは2段階で斜面の角度が途中で変わる『2段式坂道』である。
写真の赤線部分までの角度は約10度、そこから上は約15度となる。
10度位置までは特に違和感も無く登れるが、15度になると途端に歩測が緩む。
個人的には15度程度からが急坂と呼べる坂だと体感する。

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坂の上から見下ろす風景は以下の写真となる。
10度と15度では数値以上の差を感じることが出来るだろうか。
加えて、急坂と感じるのは疲労との兼ね合いから坂(斜面)の長さにも影響するので、「角度&坂道の長さ」も考慮することが必要になると考えるのだが、
今回は角度のみに焦点を当てている。

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【CASE3】

3番目の急坂。上から見下ろした風景。
急坂に見えるのだがこれでも約10度程度であった。
但し、坂道自体が約85mとやや長いので途中から疲労感を感じる。

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【CASE4】

以下は4番目のケース。
坂道を真正面から撮影するとかなりの急坂に見える。
正面からの写真では坂道の遠近感(奥行き)が極端に減少されるので、とてつもない「壁」のように見える訳だ。これが写真で云うところの「圧縮効果」である。
実際の角度は約14度なので確かに急坂とは言えるのだが、冒頭の【CASE1】の坂道写真と比較すると実際にはこちらの方がやや緩い坂道となる。しかし、圧縮効果の違いで、視覚的にはこちらの方がより急坂に見えるだろう。

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【結論】

あくまで個人的な感想であるが「坂道」の度合いは凡そ以下と思われる。
●角度10度程度まで: 健康な高齢者であればなんとか登れる
●10~15度    : 人によっては杖や補助人がいないと登れない。
           人力自転車は押して歩くことになる。
●15度以上    : まあまあの急坂。大人でも息が切れしまう。
           斜面(坂道)の長さによっては腿に疲労感を感じる。

どうやら上記1番目の例のような角度16度以上の坂道にはそう簡単には巡り合えぬ正真正銘の「急坂」と言えるだろう。そんなことを考えつつフォトウォークするのも面白いかも知れない。

因みに、スキーのジャンプ台のアプローチ(滑走部分)は約35~37度の角度があるらしい。この角度になると階段があっても登るのが至難の急坂であります。

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【参考】※以下の写真は国土交通省の道路標識一覧から一部抜粋。


道路標識で良く見る「勾配」を表すパーセント(%)表示(註)があるが、上記例の10%であれば100m進むと10mの高さ(又は下る低さ)に到達する勾配を意味する。20%であれば水平距離を100m進むと20mの高さ(=垂直距離)に至ると言う意味だ。よって、道路標識の勾配のパーセント表示は傾斜角度とは異なることに留意すべきだろう。
上記標識の勾配率が10%であれば、計算上では傾斜角度は約5.7度になる訳だ。
非常に分かりにくい道路標識である。

(註) パーミル表示(‰)の場合には、20‰であれば水平距離1000m進むと20mの垂直距離を持つ勾配を意味する。いずれにしても「勾配率表示」と言うのは日常生活からかけ離れた数値なので非常に分かり難い、というのが個人的な感想。
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(2024/7/27公開)48327   ※ブログ内容は適宜、加筆修正しています。



ゼンマイオヤジ

ゼンマイオヤジ

2024年になっても愛機ラジオミールがゼンマイオヤジを離さない。
でもロレもオメガもセイコーも、フジもライカも好みです。
要は嗜好に合ったデザインであればブランド問わず食いつきます。
『見た目のデザイン第一主義、中身の機械は二の次主義』

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