“富士フィルムの新規開発レンズ構想に期待する”

【富士フィルムの新レンズ開発への野望と期待】

富士フィルムが初めての自社製レンズをこの世に送り出したのは1947年。
「FUJINON(フジノン)5cm f2」はライカLマウントであった。
そして翌年の1947年、カメラ本体を開発した。
FUJICA SIX(フジカシックス)IA型」は6x6cm判の蛇腹式スプリングカメラで、当時としては画期的な性能を誇った。それから約80年が経とうとしている今日では、既に40本以上のXレンズがラインナップしている。

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そんな歴史ある名門ブランドだが、先日公開された動画”Focus on Glass“では、今後開発するかもしれない個性的なレンズを紹介している。その内容たるや、CanonやNikon、Sonyとは一線を画す富士フィルムらしさが濃密に凝縮されたものであり、特にその中で僕が「箱型カメラ愛好家」としての目線で興味を惹かれた3種類のレンズについて触れたい。

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Xシリーズの看板モデルであるX-Pro3。
後継機種が出ないまま生産終了となってしまった。開店休業状態は何時まで続くのだろうか。

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【固定式2焦点レンズ】

ズームレンズとは異なり、固定された二つの焦点距離を持つレンズだ。
1990年に固定式二焦点レンズを搭載したコンパクトカメラ、FUJI CARDIA Travel mini DUAL-P(フジ カルディア トラベルミニ デュアルP)を発売している。海外向けには「Discovery mini Dual Date」(米国)や「DL-500 Wide Date」(欧州)と命名されていた。

このカメラには、28mm F3.5(広角)と 45mm F5.5(標準寄り)の2つの焦点距離をスイッチで切り替えて使用する「二焦点方式レンズ」が採用されていた。他社では思いつかない極めてユニークで大胆なレンズだが、これを現在の技術で再構築するアイデアには大きな驚きと興味を抱かざるを得ない。個人的には広角側は24~25mm程度まで広げて、開放絞りは無理を承知で広角・標準共にせめてF2~2.8にして欲しい。

LUMIX がMFT 用のGレンズで単焦点5本分カバーするF1.7通しの「LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm / F1.7 ASPH」を発売している。欲張りの塊と言えばそれまでだが、いかんせん重量が690gと重くてMFTレンズとしては巨大過ぎる。どんなに贔屓目に見ても「箱型カメラ」には不向きだろう。

また、LUMIXのLマウントでは20-40mmのズームレンズを発売中だが、正にこの焦点距離域が日常の撮影距離としては個人的な最適解だと言える。

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【真鍮製の外装を持つ小型レンズ】

単焦点XF23、35、50mmF2 シリーズを真鍮外装とするアイデア。
これは間違いなくライカレンズやフォクトレンダーの人気を意識した趣味用レンズだが、開発担当者のコメントでは、既にアルミなどの金属外装を採用しているので、これも真鍮とすることは技術的にな『ハードルは低い』とのことだ。これが実現すれば、現行F2シリーズはライカのズミクロン対抗の位置付けになることだろう。「撮影する楽しみ」、つまり、「機能を超えて、カメラやレンズを文化として愛される道具」と位置付け、「撮影体験」を戦略とする富士フィルムにはドンピシャでハマるのが真鍮外装レンズではないだろうか。
思い切ってAFも取り去り、小型化に徹する真鍮外装レンズの再興を是非とも目指して欲しいものだ。

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【神レンズXF35mmF1.4Rの再構築】

全群繰り出し方式のジージー鳴るAFとレンズ構成を根本から見直しつつも、このレンズの味と重量(軽量)はそのまま引き継ぐアイデアだ。これも非常に難題だろう。
現行XF35mmF1.4Rの奥深い描写力はプロアマ問わず世界中が認めるところだ。
そのレンズにメスを入れることは極めて高いハードルであると想像するが、富士フィルムが持てる現在の技術と熱意で是非とも乗り越えて頂きたい。

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中央が現行のXF35mmF1.4Rだ。マニュアル撮影用に二本のツノ(指掛かり)を装着させた。
確かに全群繰り出し方式の音は気になるが、AF速度はカメラ側の性能で、ある程度はカバー可能だ。

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上記3本に加えて、「レンコン絞り」と呼ばれる「超ソフトフォーカスレンズ」も非常に興味を惹かれるトリッキーなレンズだが、こうした光学レンズを電子的なデジタル処理で新しいフィルムシュミレーションに加えることも一考ではないだろうか。

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【X-Pro3の後継モデルの立ち位置は難しそうだ】

今や、EVF搭載の「箱型カメラ」としての現行機は富士フィルムではX100ⅥとX-E5のみである。X-Pro3の後継機種は来年以降の登場が期待されるが、富士フィルムの看板モデルの長い不在期間は極めて奇異で異常とも言える。

昨年発売されたX-E5の機能とスペックであれば、そのまま後継機種のX-Pro4(仮称)として出してもおかしくはない性能だ。4000万画素でカメラ内にIBISを搭載し、チルト式液晶に加えてレトロ表示式の切り替えモニターまで備えているのだから、現在の富士フィルムXカメラの技術の粋が結晶されていると言えよう。X-E5に欠けているのはWR(防塵防滴)性能くらいだろう。

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このスペックを敢えてX-E5で出したということは、X-Pro4には更にその上のギミックとスペックを盛り込むことを検討中だと理解している。自らそのハードルを上げているのが富士フィルムの富士フィルムたる所以だろうが、X-ProシリーズはライカM型と同様に趣味性の高さが人気の源である。故に、プロダクトとしての磨き上げに注力して頂きたいのはもちろんだが、4000万画素以上の高画素競争にだけは邁進して欲しくはないというのが正直な希望だ。
価格は恐らく30万台に達するかも知れないと覚悟はしているが、X-ProシリーズはライカMシリーズに匹敵する富士フィルムの看板商品なのだから、外装や質感、所有する喜びを体現する細部まで拘り抜いた製品を期待している。

「箱型カメラ愛好家の憂鬱」はまだまだ続くことになりそうだ。

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(2026/3/20公開)198800   ※ブログ内容は適宜、加筆修正しています。

ゼンマイオヤジ

ゼンマイオヤジ

2024年になっても愛機ラジオミールがゼンマイオヤジを離さない。
でもロレもオメガもセイコーも、フジもライカも好みです。
要は嗜好に合ったデザインであればブランド問わず食いつきます。
『見た目のデザイン第一主義、中身の機械は二の次主義』

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