【自分のスタイルに合った腕時計を身に着けると言う意味】
腕時計というモノは、特に男性にとっては数少ないアクセサリーの一つである。
極めて個人的な趣味と審美眼の表現手段でもあるだろう。
個々人が好きな時計を選べば良いのだが、好みによってブランドが偏ったり、
種類が偏重することは当然の結果として往々に有り得る話だ。
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僕自身、どうしても興味が持てないメジャーブランドが複数存在するのも事実。
しかし、ここでそれらを子細に述べること自体無意味であるし、各オーナーにとっては極めて不愉快な内容になるので、今回は視点を変えて自らに課している『腕時計着用時の流儀三箇条』について述べてみる。
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【その壱、スーツに似合うのは適度な大きさの時計に限る】
コロナ禍以降、職場に於ける「カジュアルスタイル化」が急速に広まっている。
一方でスーツやネクタイを着用するケースもまだまだあるだろう。
ここではノーネクタイであってもYシャツとジャケットを着用する場合、
又はスーツを着用する場合を前提に話を進める。
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スーツやジャケットに似合う時計というのはやはり「適度な大きさ・華美でないダイアル・Yシャツに隠れる工夫を施す」、という三点に留意するべきというのが持論である。
革ベルトでもブレスレットでもどちらでも良い。
腕時計は袖口からチラリと見えるくらいが風情があってよろしい。
その意味からも文字盤サイズは百歩引いても、精々40mm径以下が適当であるが、
シビアな理想を言えば37~38mm径までだろう。
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10ミクロンの金メッキ仕様だが小傷だらけとなってもメッキの剥がれは生じていない。
今まで人と被ったことは一度もなく、厚みもないので自然にYシャツの袖口に隠れる。
黒いクロコ型押しのカーフベルトも柔らかく、腕に馴染む好みの一本だ。国内未発売。
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【その弐、基本は三針、クロノグラフであれば極力シンプルな顔を選択する】
文字盤は白系か黒系に大別されるだろう。
万能なのは白系であるが、黒・青系でも問題はない。
ブランドや価格も特に関係ないが、文字盤がごちゃごちゃしたパーペチュアルカレンダーや
あまりにメカメカしい文字盤もスタイル的には「ウルサイ」容姿となる。
二針又は三針and/or中三針が理想であり、デイト有り無しは好みの問題だ。
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時計に疎い人から見ればゴチャゴチャした文字盤に見えるかもしれないが、
歴史に裏打ちされた通好みのデザインであり、この程度までならギリギリ許容範囲内だろう。
理由は全体の色調がシルバー系に統一されて、文字盤のデザインも「余白バランス」がとれており、
ケース径も39.4mmで装着性も悪く無い為だ。
「控え目な知性」と「グラスヒュッテ魂」を感じる所以である。
9連ブレスはサードパーティー製の巻きブレスだがケースとの親和性に問題はない。
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【その参、常に時計を隠す努力を怠らぬこと&清潔感の維持】
例えバシュロンのコンプリを腕に巻いても、パテックのリピーターを身に着けようとも、
スーツ姿でシャツの袖口に隠さずにこれ見よがしの丸見え装着は謙虚さに欠ける。
特にブレスレットの場合には手首上でだらんと垂れ下がる姿はだらしなく見えて論外だ。
スーツの袖丈よりYシャツ袖丈を1~2cm長くすることを基本としているが、
そのYシャツの袖口から腕時計が丸見えというのは見苦しい。
自分の場合、時計の半分は隠れるように
袖口のボタン位置は時計に合わせて縫い付け直している。
また手首上の腕時計の装着位置によっても人それぞれ見え方が異なる。
会議室や応接室ではホストも客も腕時計を見なくても良いように、
掛時計や置き時計を見易い位置に設置する気配りも怠らない。
加えて時計の手入れ(清掃)にも配慮すべきだろう。
ファッションでも腕時計でも何事も清潔さから全てが始まる。
革ベルトであれば特にラグ周り、バネ棒付近の汚れを見落としがちだ。
時計ケースの段差にある塵・埃は毎使用後に軽く拭き取るくらいのいたわりが必要だろう。
ブレスレットであれば、柔らかいブラシで駒間の汚れを落とすことも欠かせない。
特にブレスの裏側などには何時の間にやら汚れがこびりついていることもままあるので、
そうした見えない部分にこそ気配りをすることで自身の精神的健全性を保つことが出来る。
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18K素材であれば、ケースにくすみ(錆)が生じることは不可避である。
18Kと雖も純金75%の合金であり、必ず銅が含まれているためだ。
毎使用後にソフトクロス等でケースの汚れを拭き取ることに心掛けたい。
そうした自分なりのルーティーンに忠実たることが時計オーナーとしての務めだと考えている。

これも一応、「三針亜種」の部類に入る。
Yシャツを少したくし上げて、ようやく時計の全容が見えるくらいが正しい姿だろう。
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米国の元大統領ビル・クリントンはTIMEX Ironmanデジタルを常時愛用し、バラク・オバマはタグ・ホイヤーのダイバーやシカゴで誕生した米国製のSHINORA等多くの種類を着用した。我らが昭和天皇の「ミッキーマウス時計」も有名であった。現在、支持率急上昇中の国内某政党の幹部はウレタンベルト付きのSEIKOダイバーズを常時ご愛用の様子だがスーツ姿にウレタンベルトは場違いだ。更には多くの人が「林檎時計」を愛用しているのが世界的な「腕時計の現在地」だろう。
(参考) 歴代米国大統領の時計についてはHodinkee Japanの記事が興味深い。
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デジタル、アナログを問わずユーザーそれぞれがスタイルを持ち、時には意識的に「ハズシの美学」で息抜きすることも結構だが、それもこれも基本あっての応用である。
根底に流れる「腕時計スタイルの美学」を咀嚼した上でチャレンジして頂きたいものである。
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(2025/1/24公開)79490 ※ブログ内容は適宜、加筆修正しています。
