【カメラは記憶のタイムマシン】
プロ・アマ問わず様々な人が写真を撮る理由を述べている。
その理由は十人十色。それはそうだろう。
プロの商業写真家を除けば写真を撮る理由に正解なんてないからだ。
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僕の場合、兎にも角にも「カメラは記憶のタイムマシン」だ。
消えゆく脳内記憶は写真が救う。
その為には、自分のイメージする構図と色彩を残したい。
特に構図については理屈や教科書的なものではなく、自分の直感を最優先している。
とは言え、スナップ中心で場当たり的なインスピレーションに起因するものだから、
当然、出来高は少なくなる。
それでも一枚でも気に入った絵が撮れれば妙に嬉しくもあり、救われた気持ちにさえなるのだ。
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その為には好みのカメラが必要だ。
当然、自分の場合は「箱型カメラ」のみしか使わない。デザイン優先。
そして装着するレンズもその造形美が好みに合うことが第一条件。
誤解を恐れずに言えば、やれ解像度だ、シャープネス云々なんてことには正直、興味が薄い。
少なくともこの20~30年以内に生産された名の知れたメーカーのレンズであり、
尚且つ小径・軽量で程度も良ければ文句はない。
カメラもレンズもデザインが最優先。腕時計と同様だ。
所有すること、実用することこそが撮影に対する最大のモチベーションとなる。
中身の機械や画像処理エンジンは国産であれば多少の差(一応、独自性と言っておく)こそあれ、性能的には皆、及第点なのだから画質上の問題は大差がない前提で話している。
若し大差があるとすれば撮る側の「視点と技量」の問題だろう。
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【50mmレンズは標準レンズか?】
既に廃刊となった「アサヒカメラ」が数年前に100名以上のプロ写真家を対象にした「標準レンズと感じる焦点距離」のアンケート結果が非常に興味深いものだった。予想通りと言うべきか35mm派と50mm派が拮抗し、夫々約2割強を占めて断トツの「二強」となった。
一方で、広角派は12mmから、望遠派は800mmまでを挙げるプロもいて、恐らく趣味や専門分野からの理由によるであろう大きなバラツキが見られた。個人的には田中長徳さんが12~16mm、岩合光昭さんが24mm、森山大道さんが28mm、大門美奈さんや山岸伸さんが40~45mm、海野和男さんが100~150mm推しという点に含蓄ある指摘を感じたのである。
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上記のアンケート結果において「標準レンズ」の主流派格付けとなった50mmを久々に使ってみた。
レンズは沈胴式のELMAR-M50mmF2.8(2nd)であり、1994年から2007まで生産されたもの。
僕のレンズは1995年製だ。巷での評判はアポ系やズミクロン、ズミルックスの影に隠れて可もなく不可もなく、ライカレンズとしては比較的安価で安定した絵が撮れる信頼性の高いレンズ、という所だが、ライカ・エルマー50mmレンズの長い歴史の中で「終着点」に相当するレンズだから、2ndはその「完成形」と言っても良いのだろう。沈胴式というギミックも含めて、3群4枚構成のテッサー型は驚くべきコンパクトさと外見の美しさ、色ノリの良さには惚れ惚れする。
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普段は21~35mmや40mmを好んで使用するが、今回は50mmが意外にも撮影するリズムもテンポ良く、改めて50mmの扱い易さ、いや、ELMAR-M 50mmF2.8の良さを再認識したところだ。
このレンズとAPS用のFUJINON XF35mmF1.4Rがあるので、もう他の50mm単焦点レンズには興味がない。
個人的には「標準レンズ」というのは「好きなレンズ」であれば焦点距離・F値(明るさ)・単焦点・ズームレンズ等々を問わず何でもよい訳で、歴史的な背景を知ることは別として「ねばならない」という空虚な議論には与さない。
だから「標準レンズ」という言葉自体、僕が疎遠に感じる所以である。
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今も歩道に鎮座する旧式の井戸。昔の生活の一端を垣間見るかのようだ。
ふんわりと背景がボケるのはごく自然に感じられる。
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即座にできるかどうかは分からないが、マニュアルフォーカスでは狙った被写体を迅速にとらえることが出来るので、
自分がカメラをコントロールしていると言う充実感がある。
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まぁ、現代のデジイチであればどのカメラでも当たり前に撮れると思うけど。
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置きっぱなしでも盗まれないんですね。日本の秩序を感じる光景でもある。
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このエルマー用純正のかぶせ式フードキャップとフジフィルムXF27mm用のフードキャップが
互換性があることを今回発見してしまった。
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レンズを引き出した後にカメラ装着することが御作法である。
レンズから落ちてくるのチリや汚れがセンサーに付着する可能性があるので要注意。
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人の記憶は必ず薄れる。
薄れる記憶は写真が救う。
カメラは記憶のタイムマシン。
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(2024/12/14公開)72000 ※ブログ内容は適宜、加筆修正しています。
