【シュータンへの飽くなきコダワリ】
スニーカーを履く理由は、人それぞれだろう。
快適さを求める者。ブランドに忠義を尽くす者。あるいは、流行の波に身を委ねる者。
しかし、僕の選び方はそれらとは少し異なる。靴と対峙するとき、最も重視するのは「色の統一感」だ。とりわけ、シュータンとシューレース(靴ひも)がアッパーと同色であるか否か。
ここに僕は、理屈抜きの美学を見る。
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冒頭写真に映るのは、NBの「CT302」ではなく、ややマニアックな系譜に位置するモデル「BB550」の派生ともいえる「ニューバランス CT272 RD/EE」。とうの昔に廃盤となったモデルだが、手持ちストックから引っ張り出した。その本体は艶やかな赤に、何と言ってもパンチング穴が施されたアッパーのデザインに一目惚れした。元来、「メッシュ素材嫌い」の自分ではあるが、レザーに加工されたパンチング穴は別格だ。腕時計の革製ストラップについても然り。革製手袋についても然り。パンチング穴加工には滅法弱い自分である。
ややスクエアトゥ気味のゆとりあるつま先部は、履き心地の良さに貢献している。
更には世界の街中で溢れる「N」マークも悪目立ちしないアッパーと同色の赤、というのが嬉しい点だ。にもかかわらず、シュータンは白、シューレースも白。
そこがどうしても許せなかった。
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誰も気付かない。いや、そもそも誰も気にしない。
道行く人々が他人のスニーカーのタンと紐の色をいちいち意識するとは思えない。
だが、気づかないからこそ、そこで妥協してはならない。これは他人のためではない。
自己満足の極致。自分自身のためにやるべき「小さな革命」であるのだ。
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【改造前のオリジナルの外観】

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作業はシンプルだが、意外と気を遣う。シューズに近い赤色の布地を手工芸材料店で選定し、既存の白いシュータンの上から被せるようにカバーを製作する。切り取った布地周辺がほつれないように、専用接着剤でほつれ止め加工を施す。本当はロックミシンで端処理をしたいのだが、そこまで専門的にならずに簡易措置とした。
そして裏面に貼り付けたのは、100円ショップで調達した粘着式の丸形マジックテープだ。取り外し可能な仕様にしたのは、実用性と遊び心のせめぎ合いの結果だ。シューレースもラメ調の赤色を探し出して換装した。
わずか数百円の投資と工夫で、心のノイズがすっと消えていく。
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【改造後はこうなった】

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アンクルパッドの白色コントラストが少々強すぎるが、ここは逆にワンポイントのアクセントとして「いいように解釈」することにする。パンツの裾で見え隠れする部分でもあるので、まぁ、良しとしよう。
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この歳になって誰に見せる訳でもない。
Instagramのハッシュタグを狙うわけでもなければ、ストリートで注目を浴びたいわけでもない。これは、「見られること」を前提にしないファッション。言い換えれば、自己内省のためのスタイリングであり、偏執的とも言える拘りの美意識に基づくのだ。
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改造後のスニーカーは、もはやプロダクトではない。
メーカーの手を離れた瞬間から、それは自分だけの道具となる。
量産の均質性からわずかに逸脱することで、モノには魂が宿るのだと、僕は信じている。
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世の中には「バレなければ何をしてもいい」という風潮もあるが、自分の美学は逆だ。
「バレないからこそ、やる意味がある」
孤高のスニーカー改造記は、そうした自身の信念の表れである。
信念と錯誤は紙一重であることは承知の上で、ここはグッと飲み込んでいるところだ。
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(2026/1/29公開) 177477 ※ブログ内容は適宜、加筆・修正しています。
